小栗旬、ルパン三世の役づくりにシェイクスピア劇の経験生かす
モンキー・パンチの国民的な人気同名漫画を原作としたオリジナルストーリーを北村龍平監督が実写化した映画『ルパン三世』で、ルパン三世を演じた小栗旬と峰不二子を演じた黒木メイサが、プレッシャーの中で挑んだ役づくりについて語った。
昨年の11月に本作のキャストが発表されたとき、日本中でキャスティングへの賛否両論が巻き起こった。そのプレッシャーを一番感じていたであろう小栗は「どの役も、プレッシャーがあったと思うんです。でもだからこそ、僕も僕でいろんな方に助けてもらった。助け合いが多かった現場だったと思います」と撮影を振り返る。
中でも小栗が「一番しんどい役」と話すのが、ルパン三世一味の紅一点である峰不二子。演じた黒木は「アニメの不二子ちゃんを意識することはあまりしないようにしていました。ただ一つ心掛けていたことは、男性にとっても女性にとっても魅力的に映ればいいなと思っていました」と役への思いを語った。そんな黒木を小栗は「りんとして、ひたすら現場で過ごしている姿を見て、この人男らしいなって感心しました」と絶賛する。
一方、ルパンを演じた小栗はどのようにして役をつくり上げたのか。小栗は「ルパンは無国籍で個性的なキャラクターで、いわば翻訳劇みたいな感じだった」と明かす。これまで、小栗は映画やドラマの仕事の傍ら、2003年の「ハムレット」など数々のシェイクスピア劇を蜷川幸雄の演出のもとで経験してきた。
「ルパンをつくる上で、これまで自分がやってきた翻訳劇が役立ったと思うんです。本来、普通の生活をしていてウインクなんてしないじゃないですか。だけどそれができてしまうのも、これまでの芝居の積み重ねがあったからなのかな」と小栗は語る。黒木もまた、つかこうへいのもとで舞台経験を積んでおり、体当たりで挑んだアクションはさすがの一言だ。
「ルパンというキャラクターを形成する上では、僕がこれまでやってきた演劇という土台が生きてくれたのかな思っています」と真っすぐな目で演技論を語る小栗の言葉を聞くと、現代でルパンと不二子を演じられる俳優は二人のほか考えられないように思えてくる。作中では、数々のプレッシャーを感じながらもこれまでの経験を信じて挑んだ役者たちの演技がスクリーンで光っている。(編集部・森田真帆)
映画『ルパン三世』は全国公開中