『アジョシ』監督、最新作で一つの区切り!次回は違うジャンルへ
映画『アジョシ』で韓国アクション映画の新境地を開いた鬼才イ・ジョンボム監督が27日、チャン・ドンゴンを主演に迎えた最新作『泣く男』を引っ提げ来日し、記者会見に出席した。15年前から構想はあったという本作についてイ監督は、「気が付けば、わたしの作品は、男が泣いて終わる映画ばかり。これを最後に違うジャンルに挑戦したい」と語り、本作が一つの区切りであることを示唆した。
本作は、クールな殺し屋が少女の命を奪ったことをきっかけに、人間的な感情に目覚め葛藤するさまを本格的なアクションと共に描き切る衝撃作。韓国映画のスーパースター、チャン・ドンゴンを得て、15年前のアイデアを具現化したイ監督は、「この役は、妻子ある40代の男性である必要があった。ルックスもさることながら、チャンは『キラー(殺し屋)でありながら殺せない』という複雑な感情をうまく演じられると思ったんだ」と彼を主役に抜てきした理由を明かした。
また、本作にはリアリズムを追求した殺し屋が登場するが、これについてイ監督は、「ハリウッド映画のキラーはどこかファンタジーじみていてわたしは反対だ。今回も、チャンにアクションのトレーニングはもとより、銃による犠牲者の映像をたくさん観てもらい、『あなたが演じる役はこんなに怖い男なんだ!』と徹底的に説明した」と役づくりの舞台裏を明かした。
そして骨太な男の映画が多いことについて質問されると、「実は女優が苦手で、何を話したらいいのかわからなくて。男同士の方が話しやすくて仕事がしやすい」と意外な理由を告白したイ監督。「デビュー作(『熱血男児』)も、『アジョシ』も、男が内面的に成長していく話だけど、楽しくなければ映画ではないと思うので、アクションもふんだんに盛り込んで、いい気持ちで映画館を出られる作品にしたかった」と力強くコメントしていた。(取材:坂田正樹)
映画『泣く男』は10月18日より新宿バルト9、丸の内TOEIほか全国公開