仲代達矢、81歳にして役者引退はナシ!「やめないで」の声に改めて現役の決意!
俳優の仲代達矢が30日、大分県由布市で開催中の第39回湯布院映画祭「東宝映画特集 岡本喜八+仲代達矢編」シンポジウムに来場、自身の俳優人生を振り返った。
この日の特集上映では、仲代達矢主演、岡本喜八監督コンビによる『斬る』『殺人狂時代』『大菩薩峠』の3本を上映。観客と一緒に映画を観たという仲代は「この有名な湯布院映画祭に、ようやく39回目にして呼んでいただいてありがとうございます。自分の映画を3本ぶっ続けで観るというのもあまりない経験でしたが、ずいぶん若かったなと思いますね」としみじみ。さらに「わたしは81歳になりますが……」と付け加える仲代の若々しい姿に、会場からは驚きの声が上がった。
岡本喜八作品に出演する仲代は、黒澤明作品、小林正樹作品などで見せるその表情とは違い、ひょうひょうとしたとぼけた雰囲気の作品が多いが、「岡本さんは兄貴のような存在で、僕のぼんやりとしたところを使いたかったみたい。黒澤明監督、成瀬巳喜男監督、市川崑監督と、みんながそれぞれ他の監督とは違う芝居を要求していましたから」と述懐。
この日は、作品をずっと追いかけてきたオールドファンから、初めて仲代作品に触れたという人まで多数の観客が来場。そんな中、「これから仲代さんの作品を勉強したいのですが、これだけは観ておけという作品はありますか?」という観客の質問に仲代は、「これまで160本近い作品に出演してきて、全部愛着がある」と前置きしつつも、「どうしても一本をというのなら、29歳の時に撮った『切腹』を挙げさせていただきたい。すると僕の役者人生は20代で終わったのかもしれないですが」と笑いつつも、「映画ってチームですから、俳優、シナリオ、監督、撮影、録音、照明と全てが素晴らしかった」と付け加えた。
その後も殺陣の話、三國連太郎さん、高峰秀子さん、市川崑監督らとの裏話、映画と舞台の芝居の違いなど、興味深い話の数々に熱心に耳を傾ける観客。「野球選手は40歳くらいになると引退のことを考えますが、役者には引退がない。そろそろ引退しようかなとも思いますが、周りの者が松の廊下で止めるような状態になっております」と冗談交じりに切り出した仲代に向けて、「まだがんばってください!」「やめないでください!」との声が。その言葉を受け、「よーし、がんばるぞ!」と決意を新たにした様子の仲代。その姿に会場からは万雷の拍手が沸き起こった。(取材・文:壬生智裕)
第39回湯布院映画祭は8月31日まで由布市の湯布院公民館ほかにて開催中