周防監督、妻・草刈の姿勢にほれた?夫婦そろって『Shall we ダンス?』を振り返る
映画『舞妓はレディ』の公開を記念して、『Shall we ダンス?』“4K Scanning デジタルリマスター版”の特別上映会が11日、都内・テアトル新宿で行われ、両作品のメガホンを取った周防正行監督がトークショーに出席した。途中、サプライズで登場した妻で女優の草刈民代を前に、周防監督は、「僕にとってこの作品は、嫁さん探しの映画だった」と語り、会場の笑いを誘った。
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18年前の記憶をたどりながら、本作の裏話を語り始めた周防監督。まず、役所広司と草刈を起用した経緯については、「実は主役の二人だけ、脚本の段階で顔が全く浮かばなかった。ヒロインの条件は、お茶の間になじみがなく、非日常的で近寄りがたい人。そんな話をしていたら、草刈の名前が挙がり、確かにこの人なら半径5メートルは近づけないなと思った」と第一印象を告白。
一方、主人公のサラリーマン役は、自分と同じ世界に生きている人物がいいと思っていたところ、役所を勧められ、困ったという周防監督。「正直、役所さんはサムライのようで違うなと思っていた。ところがエレベーターで偶然お会いしたときに、『なんだ、普通のおじさんじゃないか!』と思ってしまった」と振り返り、これが決め手になったという。
ところで、周防監督と草刈にとって、この映画は最も思い出深い作品だが、印象に残っているシーンを聞かれた周防監督は、「ああ、思い出した!」と声を上げ、「本木(雅弘)くんと話し終えて、彼女が階段を降りてくるシーンがあるんですが、それがものすごく速くて、姿勢が良くて驚いた」と述懐。すると草刈は、「姿勢がいいだけで、こんなに褒められたのは初めて」と懐かしそうに言葉を返した。
小津安二郎監督の『早春』をモデルにしたという本作。今振り返ってみると、この作品は周防監督にとってどういう存在なのか。「早過ぎた完成形かな。『ファンシイダンス』で自分をむき出し、『シコふんじゃった。』で少し抑えて物語を伝え、その後、少し時間をかけて到達するはずだった作品が図らずもできちゃった。幸せな映画」としみじみ。一方の草刈は、「人生の転機、結婚もそうですが、自分の持っているものが開花した作品ですね」と締めくくった。(取材:坂田正樹)
映画『Shall we ダンス?』『シコふんじゃった。』『ファンシイダンス』の4K Scanning Blu-rayは9月12日発売
映画『舞妓はレディ』は9月13日より全国公開