広末涼子が泣ける時代劇『柘榴坂の仇討』で自分の演技にダメ出し!?
浅田次郎の短編小説を映画化した感動作『柘榴坂の仇討』で、中井貴一演じる主人公に尽くす妻を演じた広末涼子が、自身の芝居に反省点があることを明かした。
かつて原作・浅田次郎の映画『鉄道員(ぽっぽや)』で高倉健と共演し、観る者の涙を誘った広末。同じく浅田の原作による本作で彼女が演じたのは、主君・井伊直弼の敵を討つために、宿敵の水戸藩浪士・佐橋十兵衛(阿部寛)を13年間も追い続けた彦根藩士・志村金吾(中井)の妻セツ。あだ討ちを果たしたら生きては帰れないであろう夫を献身的に支える、まさに広末のはまり役というべき役柄だが、彼女自身は今回の演技に反省点があるという。
「セツは、『夫が本望を遂げられるだけでいい』と覚悟していた女性なんです。演じているときは悲しい顔をしているつもりはなかったのに、完成版を観たらすごく悲しそうな顔をしていて、ちょっと後悔しました……」とため息をつく広末。演出を手掛けた若松節朗監督からも、「セツは武家で育った娘なのだから、りんとして強くなければいけない。泣くのは我慢しなさい」と言われていたため、気持ちを出さないようにしていたそうなのだが、「それでもあふれてしまうくらい、自然と感情移入してしまう現場でした」と打ち明ける。とはいえ、りんとした中に夫への愛情と悲しみを秘めたセツの繊細な表情が、映画の見どころの一つであることは間違いない。
そんなセツの献身もさることながら、生真面目で不器用な侍の生きざまを描く本作は、万人の涙腺を刺激する浅田節が満載。広末本人も、「試写室で本当に泣きました。武士の信念に心を揺さぶられて、夫婦のエピソードに涙して……。浅田さんの原作作品は泣いてしまいますが、それが『悲しい』『つらい』ではなくて、すごくすがすがしい涙なんですよね」と語る。出演者も感極まってしまうほどエモーショナルな時代劇。観るときはハンカチを用意したほうがいいだろう。(取材・文:斉藤由紀子)
映画『柘榴坂の仇討』は9月20日より全国公開