タモリから祝福の電話あった!2冠の吉永小百合、実はナーバスだった
女優の吉永小百合が16日、初めてプロデュースした主演映画『ふしぎな岬の物語』が第38回モントリオール世界映画祭で審査員特別賞グランプリ、エキュメニカル審査員賞の2冠を獲得したことを受け、都内で開かれた受賞報告会見に出席した。この日は、共演の阿部寛、竹内結子、笑福亭鶴瓶、成島出監督も登壇。鶴瓶は、“サユリスト”(吉永のファン)を公言するタモリから、祝福の電話があったことを報告し、吉永を喜ばせた。
モントリオール世界映画祭に出席した吉永は、その時のことを「夢を見ているような時間を過ごした」と評するも、「もし受賞できなかったらどうしよう」とナーバスになっていたことも明かした。ところが、そばに阿部が寄り添ってくれていることから、「受賞できなくても、阿部さんが慰めてくれるはず」と阿部に対する絶大な信頼があったことを告白。また、本作が遺作となった、先月永眠した米倉斉加年さんに、「『獲りましたよ』と声をかけたい」と胸中も語った。
一方の阿部は、吉永同様にかなり緊張していたよう。「何かしらもらえないかなぁ。もしかしてこのままスッと終わるのかなぁと思った時に、あの賞だった」と振り返り、「あの賞で、あの壇上に上れて、僕の人生で何よりもうれしいし、今後の力になる」と喜びをかみしめた。
そんな中、居残り組の竹内は「わたしも行きたかった」と恨み節。鶴瓶は、吉永がフランス語で、阿部が英語でスピーチしたことを受けて、「僕は何語でしゃべっていいのかわからへんから、行かなくて良かった」と、張り詰めた空気の会場を和ませるジョークで笑いを誘った。また、受賞後に「観たい」という声を多く聞くそうで、「やっぱり賞を獲るってすごいことなんだな」と感慨深げな表情。さらに、受賞直後にタモリから電話があって出たところ、鶴瓶と吉永の共演作が受賞したことが面白くないのか、「ふてくされた声で、『おめでとうございます』とだけ言ってパチッと切られた」と報告した。
初プロデュースにして、かけがえのない作品となった本作に、「こんなに幸せでいいのだろうか」と恐縮する吉永だが、この名誉はすべて吉永だからこそ得られたもの。阿部は「この人のために最大限の力を出していこうという空気に包まれていた」と現場の様子を伝えると、誰もが大きくうなずいていた。
本作は、太陽と海に抱かれたのどかな岬村を舞台に描かれるヒューマンドラマ。小さなカフェを営む悦子(吉永)と、そこに集う人々の交流を通して、当たり前すぎて忘れがちな人と人との絆をなめらかに紡ぎ出す。(取材・文:鶴見菜美子)
映画『ふしぎな岬の物語』は10月11日より全国公開