『猿の惑星』でオスカー級の名演!アンディ・サーキス“猿”の演技を支えた技術の進化!
19日から日本公開される『猿の惑星』シリーズ最新作『猿の惑星:新世紀(ライジング)』が、前作『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』を遥かに上回る6億4,200万ドル(約642億円)に迫る興収を上げ、全米で大ヒット中だ。舞台は前作から10年後のサンフランシスコ。ウイルスによって絶滅しかけている人類と、平和に暮らす猿たちが、生存を懸けて戦うことになる。世界に衝撃を与えた、パフォーマンスキャプチャーを使った猿の映像はさらに進化し、リアルで感情豊かな演技は観る者を圧倒する。
猿たちのリーダー、シーザーを演じるのは、数々の映画史に残るキャラクターを演じてきたパフォーマンスキャプチャーのパイオニア、アンディ・サーキス。映画ファンの間で絶大な人気を誇る彼が、新作について語った。
今やハリウッド映画に欠かせないテクノロジーとなったパフォーマンスキャプチャー。アンディによると、この技術も今回、かなり改良されているという。「映画の大半は屋外ロケで、猿のシーンは、80~100台の小さなパフォーマンスキャプチャー用のカメラで撮影されている。それらが木やセットの陰など、いたる所に置かれているんだ。さらに役者は、カメラに信号を送るマーカーがついたスーツを着ている。『ロード・オブ・ザ・リング』のころは、一度屋外セットで撮影した後、スタジオに行って、ロケの演技をもう一度繰り返さないといけなかった。当時は、それを屋外でやることはできなかったんだ」。
「パフォーマンスキャプチャーが大好き」というアンディ。その魅力は、自分を解放してくれることだと言う。「『ホビット 竜に奪われた王国』でベネディクト・カンバーバッチがスマウグを演じたように、この技術のおかげで、僕はどんなものでも演じられる。役者が、もっと抽象的なキャラクターやクリーチャーを演じる映画がこれからもっと出てくるはずだよ。大切なのは想像力なんだ」。
今回のシーザー役で、再びアカデミー賞への期待がかかるアンディだが、パフォーマンスキャプチャーのために特別なカテゴリーを設けることには反対だという。「演技は、メイクをしていようとパフォーマンスキャプチャー用のスーツを着ていようと関係ない。ただ演じるだけだ。もしその役が受賞するだけの価値があるとすれば、それは観客を感動させたり、笑わせたり、泣かせたりできるからだよ」。
自身のスタジオ「ザ・イマジナリウム」を立ち上げ、超話題作『スター・ウォーズ/エピソード7(仮題)』に出演し、「ジャングル・ブック」の映画化でメガホンを取る予定まであるなど、まさに八面六臂(ろっぴ)の活躍を続けるアンディ。この技術を誰よりも知り尽くした彼が、今後どんなキャラクターや映像表現を見せるのか、大いに注目したい。(取材・文:吉川優子)
映画『猿の惑星:新世紀(ライジング)』は9月19日よりTOHOシネマズ日劇ほか全国公開 13日、14日、15日 先行上映