イーストウッドの知られざる姿!「父から学んだこと」をイケメン息子が語る
巨匠クリント・イーストウッド監督の新作『ジャージー・ボーイズ』で音楽を手掛けたのは、監督の息子にしてジャズ・ベーシストのカイル・イーストウッドだ。ブルーノート東京でのライブ(9月17日~19日)のために来日を果たしたカイルが、偉大な父への思いを語った。
ニュージャージー出身の4人組ポップスグループ、ザ・フォー・シーズンズの栄光と挫折を描いた、トニー賞受賞ブロードウェイ・ミュージカルを映画化した本作。多くのファンに熱烈に支持されているミュージカルとあって、映画的な演出を取り入れるために脚本の一部に手を加えたほかは、ほぼ忠実に映画化するよう努めたという。そのため、笑えるシーンもふんだんにあり、シリアスな作品が多かったイーストウッド監督作の中では異色ともいえる。
そんな本作を、これまでにも『硫黄島からの手紙』『グラン・トリノ』など数々の作品の音楽担当として父をサポートしてきたカイルは「今までにもミュージシャンを扱った作品はあったけどジャンルが違ったし、今回の作品は異質だよね。ドラマチックな部分や悲劇的な部分は今回も出てくるけど、それにしたってこれまでの父の作品からは飛躍していると思う(笑)」と評す。
ザ・フォー・シーズンズが活動した1950年代後半から1970年代は、イーストウッドが俳優として活躍した時代とも重なるため、部屋にあるテレビにイーストウッド主演ドラマ「ローハイド」が流れる形で、若き日のイーストウッドがカメオ出演するという遊び心あふれる演出も取り入れられている。「そうそう、父はそういうタイプのユーモアの持ち主なんだ。ちょうど映画で描かれている時代のころ、父はよくテレビ出演していたからね。本当はすごくユーモアセンスのある人なんだよ」とイーストウッドの知られざる一面を大笑いで明かした。
そんなカイルだが、本作が投げ掛けるメッセージに話が及ぶと表情が一変。ザ・フォー・シーズンズほどではないにしても、誰もが人生の浮き沈みを経験する。そんな時に大事なことを問うと、「僕が父から学んだことといえば、自分が情熱を持てる対象に対して、忠実であるということ。そして、いざチャンスが巡ってきたときには、そこに飛びついて思いきり頑張るということ。それを父は僕に教えようとしていたと思うし、僕も父を見て学んだと思う」と明かし、「あと、父は好きなことだけやってきた人だけど、常に真剣だし、同時に楽しむことも忘れない。それも大事なことだと思う」としみじみと語った。
偉大な父を持ち、その影響を受けながらも、自身の道を追求しているカイル。日本に発つ前夜にはイーストウッドと会ったそうで、「4、5か月ぶりに会って、ディナーを食べてきたよ。その後、一緒にダンスミュージックを聴いたりしてね」とニッコリ。イーストウッドのことを語る言葉の端々からは、父への思いがあふれていた。(写真・文:小島弥央)
映画『ジャージー・ボーイズ』は公開中