史上初の現役ラガーマン芸人が誕生!烏龍パークの加藤、社会人ラグビーチームに正式登録!
お笑いコンビ、烏龍パークの加藤康雄が日本IBMラグビー部ビッグブルーの選手として公式登録され、同コンビが所属しているよしもとで初めての現役ラガーマン芸人が誕生した。
加藤が所属することになった同チームは、過去4シーズンにおいてトップリーグに所属。昨年関東ラグビーフットボール協会総会にて承認されたクラブ化を利用して、今年からオープンなクラブチームとなり、日本IBMまたは関連会社・グループ会社に就職していなくともプレーすることができることになった。ラグビー経験があり、花園ベスト16まで残った実績もある加藤はこの制度を利用し、今年7月中旬から同チームの練習に参加。1か月間の練習期間を経て、晴れて選手として正式登録された。
とはいえ、お笑い芸人としての「烏龍パーク」の名前を知る人はほとんどいないだろう。彼がなぜ社会人ラグビーの世界へと飛び込んだのか、本人に聞いてみると「自分は芸人難民なんです」という言葉が返ってきた。「今自分は39歳。もう16年もお笑い芸人を続けてきましたが、結局一度も名前が売れることなく、現在に至っている、いわゆる芸人難民なんです。でも自分の相方は、これまで3回『アメトーーク!』に出させてもらっています。お笑い芸人があふれている中で、少しでも目立つことをしないと個性が生まれないし、他との違いも出せない」、そう苦悩を語った加藤は「自分の個性を考えたら、ラグビーしかなかった」と話す。
7月からチームの練習に参加するようになったが、約20年ぶりのラグビーは楽ではなかった。「もちろん、全く体は動きません。コーチからは最初にお笑い芸人だとか、そういうことは意識せず、能力よりもラグビーに対する気持ちがきちんとあるかどうかを8月までに判断すると言われました。そこから週3回、皆さんと一緒に練習したり、試合のお手伝いをしたり、自分ができるだけのことをさせていただきました」。
「正直、お笑い芸人の世界は、全員がライバル。仲間なんていないんです」という加藤は現在、仲間たちと練習に励む日々を送っている。「僕がチームに入って1か月くらいしたころに、スリッパを忘れてしまって困っていたんです。そしたら、チームメートの方が『これ使ってくださいよ。もう仲間なんだから遠慮しないで』って、ふっと言ってくれてね」と照れた笑いを浮かべる。
16歳で母を亡くし、父は蒸発。天涯孤独だった加藤の人生に、39歳で再開したラグビーが思いがけない光をもたらした。「あそこに行ったら誰かがおるんやっていう感覚が今までなかったから、うれしい反面、まだ戸惑います」と笑顔で話した加藤は、「純粋にラグビーを頑張っている仲間たちが報われてほしい。絶対に勝ってほしいと思っています」と目を輝かせる。崖っぷちの挑戦は、加藤自身をどのように変えていくのだろうか。(編集部・森田真帆)
IBMビッグブルーは10月12日、IBM八千代台グラウンドにて釜石シーウェイブスRFCと対戦