カンバーバッチ、オスカー有力の声に「時期尚早」
現地時間8日、第58回ロンドン映画祭が開幕した。オープニング作品『ジ・イミテーション・ゲーム(原題) / The Imitation Game』で主演を務めたベネディクト・カンバーバッチ、共演のキーラ・ナイトレイ、モルテン・ティルドゥム監督、脚本のグラハム・ムーアが会見に出席した。
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本作は、第2次世界大戦時、ドイツ軍の暗号解読に挑んだイギリスの数学者アラン・チューリングをベネディクトが演じた人間ドラマ。チューリングは暗号を解読することで多くの人命を救い、発明した暗号解読機械はコンピューターの基となった。だが、国家機密とされた作戦だったことや、1952年、チューリングが当時は違法とされた同性愛で逮捕され、1954年に41歳で自殺したことで、長らく光が当てられることのなかった人物でもある。
ベネディクトはチューリングについて「科学者、コンピューターの父、戦時のヒーローとして、制約の多い時代を妥協することなく生きた人物として、もっと知られるべきです」とコメント。その思いが込められた説得力ある演技を見せる彼には、アカデミー賞主演男優賞候補の呼び声も高いが「時期尚早だと思います。僕にとっては、この素晴らしい人物を経験できたことの方がもっと大事。(オスカー候補の呼び声で)興味を引いて、たくさんの人に観てもらえたらうれしいです」と冷静に語った。
テレビドラマ「SHERLOCK(シャーロック)」でおなじみのベネディクトは、やはりイギリスのテレビで物理学者スティーヴン・ホーキング博士や画家ゴッホを演じたこともある。今回またしても実在の天才を演じることになったが、「バカな人の役だってやるよ」と応じて笑いを誘った。
また、ムーアは「社会的なアウトサイダーだった人が、秘密を保持しなくてはならなくなって二重にアウトサイダーになってしまったのです」とチューリングについて解説。ティルドゥム監督も「(本作では)それぞれの人が持つその人らしさをたたえようと思いました」と付け加えていた。(取材・文:山口ゆかり / Yukari Yamaguchi)
第58回ロンドン映画祭は現地時間19日まで開催
映画『ジ・イミテーション・ゲーム(原題) / The Imitation Game』は2015年3月よりTOHOシネマズみゆき座ほか全国公開