松田翔太×前田敦子『イニシエーション・ラブ』映画化
物語ラストのトリックから映像化不可能といわれた乾くるみの大ヒット小説「イニシエーション・ラブ」が松田翔太主演、ヒロインに元AKB48の前田敦子を迎え実写映画化され、来年公開されることがわかった。本作は、1980年代後半の静岡と東京を舞台に、若い男女の出会いと別れがSide-AとBの2編でつづられる青春ラブストーリー。東京編には女優・木村文乃も参戦し、三角関係に発展する。
松田と前田は、合コンで出会った就職活動中の奥手な大学生・鈴木と、歯科助手・マユをそれぞれ熱演。この二人のぎこちない恋愛模様をSide-Aで描き、就職して上京した鈴木と静岡のマユの遠距離恋愛が徐々に崩壊し、美弥子(木村)も交えた三角関係をSide-Bで描き出す。
一見純粋な恋愛物語が、原作の最後2行に待ち受けるトリックにより、驚がくのミステリーに変貌。映画ではラスト5分で全く異なるストーリーに変化する。3月3日に放送されたバラエティー番組「しゃべくり007」(日本テレビ)でくりぃむしちゅーの有田哲平が原作小説を「これはもう最高傑作のミステリー」と絶賛したことから、翌4月には発行部数100万部を突破。10月現在で112万部に到達し、いまなお売れ続けている。
メガホンを取るのは、『トリック』『SPEC』シリーズなどの堤幸彦。原作者の協力を得て、新たな映像的ギミックを取り入れながら実写化に挑戦し、「最高のキャストとわがチームの持てる力をフル動員して、この一筋縄ではいかない『イニシエーション・ラブ』に挑みたい」と意気込んでいる。
松田は「台本と原作を読ませていただき、80年代ならではの男女の交際や、原作の持つ世界観がとても面白いと思いました」。一方、「今回の役柄は、今まで体験したことのないキャラクターなのでとても楽しみ」という前田。「設定も自分が生まれていない時代背景なので、それも楽しみたい」と意欲を見せている。
堤監督との仕事を望んでいたという木村は「ほとんどが松田さんとの会話のシーンになるので、二人の微妙な距離感とちょっとした駆け引きを、空気感を大事に丁寧に重ねて行けたら」とイメージを明かし、「(原作)出版当時とてもはやったのでわたしも手に取り、最後の数行にまんまと声を上げさせられました。それから数年たってまさか自分がその登場人物の一人をやらせていただくとは夢にも思ってみませんでしたが、この仕掛けを映像でどう表現していくのか、わたしも楽しみ」と映像化に期待を寄せている。
原作者の乾は「アレを映像化するのですか? 本当に?」と驚きながらも「いえ、こちらとしても損はない話ですから、どうぞご自由に。おそらく原作とはかなり違ったものになるのでしょう」と予想。「ちなみに、原作には混浴露天風呂のシーンはありません。観光地でグルメを食べ歩きするようなシーンもありません。そういう要素を無理やりねじ込んだ映画版を見てみたい気持ちも少しだけありますが、何卒お手柔らかにお願いします」とコメントしている。(編集部・小松芙未)
映画『イニシエーション・ラブ』は2015年全国東宝系にて公開