ハシリはデンゼル・ワシントン!? 演技派オヤジのアクション映画の魅力
デンゼル・ワシントン主演のハードボイルドアクション『イコライザー』がいよいよ公開される。リーアム・ニーソン主演の『96時間』シリーズやケヴィン・コスナーの『ラストミッション』など、演技派の「オヤジ俳優」主演のアクションが花盛りの今、その人気の秘密を探った。
要因としてはまず、「オヤジ世代」が洋画のメイン観客となっていることが挙げられるだろう。彼らにとって、長年活躍しているスターはなじみ深く、主演作にも足を運びやすい。往年のアクション俳優が結集した『エクスペンダブルズ』シリーズの人気からもその傾向がうかがえる。
次に演技派アクターの主演作が支持を得ているという事実も見逃せない。前述したデンゼル・ワシントン、リーアム・ニーソン、ケヴィン・コスナーといえば、アカデミー賞の受賞歴や候補歴がある実力派であり、名優の代表格。そんなベテラン俳優たちであれば、出演作の選球眼も磨かれており、クオリティーの高い作品に出演することが多いということを観客も理解しており、安心して映画館に足を運ぶことができるという強みがある。
中でも、2度のアカデミー賞に輝く名優デンゼル・ワシントンは、『グローリー』でアカデミー賞助演男優賞を受賞して以来、演技派としての顔を持つ一方、アクション映画での実績も抜群。古くは『バーチュオシティ』『マイ・ボディガード』などで主演を務め、オヤジ俳優となった最近でも『アンストッパブル』『デンジャラス・ラン』でヒロイックな熱演を見せている。
最新主演作『イコライザー』では、昼はホームセンター従業員、夜は元CIAのスキルを生かして悪を成敗する処刑人という二つの顔を持つキャラクターに挑戦。「ただのアクションにはしたくなかった」というデンゼルは、「自分の中で“彼(=役柄)”が膨らむ」という発言の通り、マッコールというキャラクターに「不眠症で強迫性障害がある」といった要素を自ら加え、主人公の人間味が妙味を放つ作品へと昇華させた。演技派オヤジのアクション映画が花盛りな今、デンゼルが満を持して放つ本作に期待が高まる。(文・相馬学)
映画『イコライザー』は10月25日より全国公開