『インファナル・アフェア』のアンドリュー・ラウ監督が明かすアメリカで撮影した新作
映画『インファナル・アフェア』シリーズのアンドリュー・ラウ監督が、アメリカで手掛けた話題作『リベンジ・オブ・ザ・グリーン・ドラゴンズ(原題) / Revenge of the Green Dragons』について、共同監督アンドリュー・ローと共に語った。
本作は1980年代後半、ニューヨークのフラッシングに住む中国人兄弟ソニー(ジャスティン・チョン)とスティーヴン(ケヴィン・ウー)は、ギャング「グリーン・ドラゴン」に加わり、ボスのポールのもと犯罪に手を染め組織をのし上がるが、ソニーはある事件をきっかけに組織に反発していくというストーリー。マーティン・スコセッシが製作総指揮を務め、実話を基に映画化した。
舞台となるニューヨークのクイーンズ地区フラッシングについてラウ監督は「今作の舞台設定が1980年代後半で、最初(2年前)にこの地を訪れた時は、僕が抱いていたイメージとは全く異なっていた。それは聞こえてくる言語で、80年代後半は中国語ばかりだったそうだが、現在はさまざまな言語が聞こえてくる。だから当時の面影のある場所を探すのは挑戦だったが、ニューヨーク以外での撮影は考えられなかった」と答えると、ロー監督は「実際にはブルックリン地区ベンソンハーストやクイーンズ地区エルムハーストで、当時のフラッシングを再現して撮影した」と明かした。
実在したギャング「グリーン・ドラゴン」についてロー監督は「80年代後半からニューヨーク市警察が、ジョン・ゴティのガンビーノ一家が支配するリトル・イタリーで捜査を始めたことで、ドラッグの密売などは『グリーン・ドラゴン』を含めた他のアジア系ギャング組織に、新たな機会を与えた。その他彼らは、人身売買やゆすりで組織を大きくしていった」と語った。
キャスティングについてロー監督は「アジア系アメリカ人俳優は多くの仕事や経歴を持った俳優が少ないうえ、今作はさまざまなキャラが登場するアンサンブル作品で、それぞれのキャラが一人でも成り立つ設定でもある。もちろん、キャラクターの中にはアジア系アメリカ人特有の型にはまった役柄もあるが、ユニークなキャラも登場する。そんなキャラをキャストするのに、キャスティング・ディレクターのアヴィ・カウフマンの手を借り、その後彼女が選んだ俳優たちと食事をしながら審査して決めていった」と答えた。
映画は、実在した過激な犯罪組織をリアルに描くだけでなく、組織の人間関係の奥深さも見事に映し出している。 (取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)