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庵野秀明、『風立ちぬ』の声優オファーを受けた理由に岩井俊二の存在

第27回東京国際映画祭

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他では聞くことのできない貴重な話を語った庵野秀明
他では聞くことのできない貴重な話を語った庵野秀明

 現在開催中の第27回東京国際映画祭特集上映「庵野秀明の世界」内のプログラム『式日-SHIKI-JITSU-』(2000年)が25日夜、TOHOシネマズ日本橋で上映され、同作のほか、『ラブ&ポップ』『CUTIE HONEY キューティーハニー』などを庵野が手掛けた実写作品について自身が振り返った。

 庵野にとって初の大型特集上映企画となる本特集。この日上映された『式日-SHIKI-JITSU-』には、庵野の分身とも言うべき「カントク」役で、映画監督の岩井俊二が俳優として出演したことも話題を集めた。

 くしくも庵野も、宮崎駿監督の『風立ちぬ』の主人公・堀越二郎役で声優出演を果たしているが、「役者さんだとちょっと違うなと思って。それは宮さん(宮崎駿)が僕を使ったのと同じ理由だと思うけど。だから、僕は宮さんに先行してそれをやっていたんですよ。だから宮さんに言われたとき、あれと一緒のことをやっているから断れないなと思った」と振り返る。

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庵野秀明
さまざまな企画を考えている事も明かし、「がんばります」と決意を語った

 さらに「岩井さんはさぼってばかりいた」と笑いながら述懐する庵野監督は、「現場では『リリィ・シュシュのすべて』ばかり書いていた。ワープロに向かっているシーンは、ふりじゃなくて、本当に仕事をしていた」と明かし、会場を笑わせながらも、「でも、あの役は岩井さんで本当に良かった」と満足げな顔を見せた。また、この日の客席には同作主演・原作も担当した藤谷文子の姿も。庵野から紹介された藤谷に、会場からは大きな拍手がわき起こった。

 この日は他に、「庵野の実写映像の原点は、画面作りが実相寺昭雄、編集は岡本喜八」「(妻で漫画家の)安野モヨコの『ハッピー・マニア』を読んで、エヴァでやろうとしたことがやってあるとショックを受けた。ああいうテイストの映像ができないかと思ったのが『CUTIE HONEY キューティーハニー』」など、貴重な話が続々と飛び出した。さらに終盤には、「オリジナルの実写もいろいろ企画は考えているんですが、諸事情があって、なかなか実現しない」と庵野。それでも最後に「がんばります」とあらためて決意を語り、会場を沸かせた。(取材・文:壬生智裕)

第27回東京国際映画祭特集上映「庵野秀明の世界」は10月30日までTOHOシネマズ日本橋にて上映中

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