庵野秀明、ドラマ「アオイホノオ」作者との腐れ縁にボヤキ節?
第27回東京国際映画祭
第27回東京国際映画祭特集上映「庵野秀明の世界」が30日夜にTOHOシネマズ日本橋で行われ、庵野がゲストとして登壇した。庵野秀明にとって初の大型特集企画として、連日行われてきた本特集もいよいよ「監督他・庵野秀明(短編)」で最終回。こちらではCM、PV、特報など庵野が手掛けた20本以上の短編映像を一気に上映した。
この日の上映ラインアップのリストを見た庵野は「こうやって見ると(ジャンルが)バラバラですね」としみじみ語ったが、「僕は特撮と嫁さん(漫画家の安野モヨコ)がどんだけ好きなんだと思いますね。(安野原作のアニメ)『シュガシュガルーン』(のオープニングとエンディング)なんて、よくやっていたなと思いますよ」とさりげなくのろける一幕も。
さらにリストを眺めた庵野は「島本(和彦)のマンガを2回もやっているんですよね。なぜか知らないけど、島本の仕事が来るんです。『炎の転校生』特報と『アニメ店長』PVのときには、僕が恥をかくなら、お前も恥をかけと言って、本人にナレーションをやらせました。うまい下手は関係ない。(作品に)島本がいることが大事なんです」と述懐。大阪芸術大学の同期生だった島本と庵野の若き日の姿を、フィクションを交えて描き出したテレビ東京系の深夜ドラマ「アオイホノオ」を思わせるようなエピソードを披露し、観客を喜ばせた。
続けてジブリ美術館用の短編作品『空想の機械達の中の破壊の発明』について語り始めた庵野。「ちょうどこの頃、結婚することが決まっていたんで、結婚式の披露宴の主賓として宮(崎駿)さんがスピーチをしてくれるならやりますと言って受けたんです。でもそのスピーチが長くて。僕が昔は風呂に入らなかったとか、ゴキブリと一緒に暮らしていたとか。親戚の前なのに余計なことばかりずっとしゃべっていて。頼むんじゃなかったと思いましたよ」とボヤいてみせ、会場を笑わせた。
そして5夜にわたって半生を振り返った庵野のトークショーもいよいよ終盤に「こういう機会でもないと自分の作品を観返す機会はなかった。あらためて自分の作品を観て、次が作れるような気分になれたのはうれしいですね」と笑顔。そして帰り際、会場に集まった満員の観客に向けて、マイクを通さずに地声で「どうもありがとうございました!」と大声で謝辞を述べた。(取材・文:壬生智裕)