映画賞総なめ『ショート・ターム』は監督の実体験!「子供を傷つけるのが怖かった」
未成年の保護施設を舞台に若者たちの生きる喜びを描き、SXSW(サウス・バイ・サウスウェスト)映画祭2013の最優秀作品賞&観客賞受賞をはじめ世界の映画賞を総なめにした話題作『ショート・ターム』の特別試写会が5日、都内で行われ、来日したデスティン・ダニエル・クレットン監督が登壇。実体験を基に映画化したという本作への思いを熱く語った。
本作は、世界中で35以上の映画賞を受賞した感動のヒューマンドラマ。ティーンエイジャーの傷ついた心をケアするための短期保護施設で働くヒロイン(ブリー・ラーソン)が抱える心の闇と、彼女を取り巻く施設の子供たちの姿をみずみずしいタッチで描く。
かつてカリフォルニア州の保護施設で働いていたというクレットン監督は、「当時は、子供たちの心を傷つけてしまうことをとても恐れていたので、毎日震えながら仕事へ行っていた」と振り返る。「だた、この仕事は、わたしが生きてきた中で最も重要で忘れられない経験となった。わたしなりにこの仕事を理解して映画化したいという気持ちが芽生えた」と本作に込めた思いを明かした。
また、アメリカにおける心に問題を抱える子供たちの現状についてクレットン監督は、「近年、子供たちのために立ち上がり、子供たちのために声を上げる人が増えてきた。というのも、子供は未成年なので、自分のために主張することができない、投票権もない、政策を変えることもできない。だから大人が主張しなければ何も変わらない。これはいいことでもあり、悲しい現実でもある」と吐露。子供の心の声に耳を傾けることができない現状を嘆いた。
この日は、シンガー・ソングライターの関取花による、本作をイメージして書き下ろした新曲「dawn」のアコースティックライブも行われた。(取材:坂田正樹)
映画『ショート・ターム』は11月15日より新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷、TOHOシネマズ梅田、TOHOシネマズなんば、TOHOシネマズ二条ほか全国順次公開