「ドラゴンボール」の“チチ”がモデル?『少林サッカー』の監督版『西遊記』のヒロイン“段”
『少林サッカー』のチャウ・シンチー監督最新作『西遊記~はじまりのはじまり~』に、日本の人気コミック「ドラゴンボール」で孫悟空の妻となる「チチ」をほうふつさせるキャラクターが登場している。
『西遊記~はじまりのはじまり~』は、三蔵法師の天竺への旅を描いたおなじみの冒険奇譚(たん)の前日談。玄奘という僧の名で、妖怪ハンターとして修行を積んでいた若き三蔵法師の奔走に加えて、孫悟空や猪八戒、沙悟浄との出会いが、笑いとスリルを込めて描かれている。これは、アイデアマンのシンチーがイマジネーションを発揮して生み出したオリジナルストーリーだが、ヒロインの「段」もまたシンチーの創作によるキャラクター。玄奘の行く手に現われては次々と怪物たちを退治する、すご腕の女妖怪ハンターとして登場する。
この「段」という女性、戦闘の腕は超一流で性格も勝ち気だが、ほれた相手の玄奘にはプライドを捨て、女子モード全開で積極的にアプローチしてくるツンデレキャラ。『トランスポーター』の国際派女優スー・チー(吹替版では貫地谷しほりが好演)によって魅力的に演じられているのだが、そのキャラクターが「ドラゴンボール」の“チチ”によく似ているのだ。戦士としては最強の部類であり、悟空に一方的に恋をして嫁入りを志願したチチ。性格もやはり強気で、気持ちも戦闘術も男に負けていない。段を見ているとそんなチチの姿が自然と重なってくるファンも少なくないだろう。
「ドラゴンボール」が日本のみならず、世界中で愛されているのはご存じの通り。チャウ・シンチーはハリウッドで「ドラゴンボール」が映画化され、『DRAGONBALL EVOLUTION』となった際、結果的にはプロデューサーとなったが、監督に意欲を見せていたほどの同作のファンであり、本作でも「ドラゴンボール」から影響を受けたことを公言している。そもそも「ドラゴンボール」自体が、「西遊記」から発想を得ているのは周知のことであり、それが『西遊記~はじまりのはじまり~』へと発展したのだから、日本のファンにとってはうれしい先祖返りといえるだろう。(文・相馬学)
映画『西遊記~はじまりのはじまり~』は11月21日(金)よりTOHOシネマズ有楽座ほかにて全国公開