『少林サッカー』の監督版『西遊記』、キャラクターづくりの極意はギャップ!?
『少林サッカー』で知られるチャウ・シンチー監督が、キャラクターづくりの極意はギャップであることを明かした。
21日に6年ぶりの新作となる『西遊記~はじまりのはじまり~』が日本公開されるシンチーは、子供の頃から「西遊記」のファン。1995年に製作された『チャイニーズ・オデッセイ』2部作では、自ら孫悟空を演じており、やはり好きなキャラクターは孫悟空だというが、「でも他のメインキャラクターたちも実はいい味を出しているんです」と作品の魅力を語り、自らの監督作では、孫悟空を青白くハゲた老人、沙悟浄を巨大な人食い魚、そして猪八戒を美男子として登場させた。
日本人が思い浮かべる「西遊記」のキャラクターといえば、孫悟空は若くて健康的、沙悟浄はクールな頭脳派、猪八戒は間抜けな三枚目のイメージだが、本作のキャラクターは、それとはかけ離れている。シンチーは、その理由について、「猪八戒は醜いイノシシですが、それとのギャップを生み出すため美男子の設定にしました。孫悟空もわざと弱そうな老人の見た目にした方が、その後、機敏に動いたときとのギャップが出ますから」とキャラクターづくりの極意を楽しそうに明かした。
また、本作には後の三蔵法師となる青年・玄奘にほれる女妖怪ハンター・段がオリジナルキャラクターとして登場するが、男勝りの性格ながら、これまでのシンチー映画のヒロイン同様、恋愛に対してはかなり奥手。そんな段を演じたスー・チーを「彼女は好き嫌いがハッキリしていて、ストレートかつ強烈なところなど、段のキャラクターと重なる部分があってピッタリだった」と評するなど、主演女優にベタぼれなあたりも、これまでのシンチー作品との共通点といえそうだ。
奇抜な創造力で多くの観客の心をつかんできたチャウ・シンチー監督。本作でもファンの予想をはるかにしのぐオリジナリティーで、観る者の心をつかむことだろう。(取材・文:くれい響)
映画『西遊記~はじまりのはじまり~』は11月21日(金)よりTOHOシネマズ有楽座ほかにて全国公開