鈴木京香「恐怖心あった」被災地舞台の主演作に感無量
震災後の東北を舞台にした映画『救いたい』の完成披露試写会が10日、都内で行われ、主演の鈴木京香、三浦友和、貫地谷しほり、渡辺大、中越典子、原作者の川村隆枝、神山征二郎監督が登壇した。宮城県仙台市出身の鈴木は、「中途半端にはできないという思いや恐怖心もありました」と本作への思い入れを明らかにした。
国立病院機構仙台医療センターに勤務する川村のエッセー「心配ご無用 手術室には守護神がいる」を基に、麻酔科医の隆子(鈴木)と被災地で地域医療に従事する夫・貞一(三浦)の日常を通して、悲しみや現実を受け入れながら乗り越えようと懸命に生きる人々の姿を描いた感動作。
率直な思いを口にした鈴木だったが、地元の人達との触れ合いを重ね「思い出の映画になりました」と感無量の表情。また、三浦と演じた「べったりともたれかかっているわけではないが、支え合っている」という夫婦像に「憧れました」と結婚観も披露。三浦のセリフで大好きなセリフがあるとも言い、「そんなことを言ってもらえる奥様は幸せだし、言ってくださる旦那様もすてき」と結婚に憧れる少女のような笑顔を見せた。
三浦も「奥さん(役)が鈴木京香さんですからね。そりゃもう、楽しくやらせてもらいました」とデレデレ。オファーを受けるまでに1~2週間考えたという三浦は映画が好きで、その理由は「現実を忘れさせてくれるから」だというが、本作は「現実を見せつけられる映画」であることに戸惑いがあったそう。しかし、結果的には「やって良かったな」と思った三浦。その表情には自信があふれていた。
貫地谷も「やるまでにはとても勇気がいる(台)本だと思いました」と述懐。中越は、震災直後に募金や服を送るなどの支援活動は行ったが、現地に赴き、直接関わることができなかったため「罪悪感があった」と吐露。「そんな自分でもいいのかなという不安があったが、(映画を)観た人や(震災を)経験した人が勇気をもらえるような作品に参加できるのはありがたいことだと思い、参加させていただきました」と胸にたぎる熱い思いを語っていた。(取材・文:鶴見菜美子)
映画『救いたい』は11月22日より新宿ピカデリーほか全国公開