ガエル・ガルシア・ベルナルが118日間刑務所の独房に拘束された記者役を語る!
メキシコ出身の演技派俳優ガエル・ガルシア・ベルナルが、新作『ローズウォーター(原題) / Rosewater』について語った。
ガエル・ガルシア・ベルナル出演映画『NO ノー』フォトギャラリー
本作は、イラン系カナダ人の記者マジアル・バハリ(ガエル・ガルシア・ベルナル)が、2009年のイラン大統領選挙を取材していた際に、突如イランの治安当局者に捕われ、118日間も拘束されたという実話を描いたもの。マジアルとエイミー・モロイの原作「Then They Came for Me」を、米人気番組「ザ・デイリー・ショー」の司会者ジョン・スチュワートが映画化した。
実在するマジアルを演じてみて「実際にマジアルのセット訪問の際は、おじけづきそうになった。でも映画『モーターサイクル・ダイアリーズ』で、若き日のチェ・ゲバラを演じた時ほど重荷ではなかった。チェ・ゲバラは、誰もが彼へのイメージや解釈を持っているからね。マジアルは演技中の僕に、自分はそんな行動(演技)はしないよ!と助言してくれたこともあった。今作の全ては、マジアルの自叙伝によるもので、 その内容は(拘束されていた)時間ごとの体験を単に記したものではなく、後日談や当時の彼の感情、さらに社会的に大きな問題に発展した経緯も含まれ、俳優としてマジアルを演じる上で人間的なアプローチができた」と明かした。
初監督に挑戦したジョンの演出について「ジョンは自身の番組『ザ・デイリー・ショー』を通して、映画のように多くの人と同時に接することに慣れていた。そのせいか、演出も自然で、人柄も円熟した柔らかな感じだ。撮影はさまざまなことをテストしながら行い、自分の撮影手法に疑問を持ったら、われわれに確認しながら撮影をしていた」と答えた通り、とても処女作とは思えない熟練した演出に感じられた。
刑務所の独房に閉じ込められた設定での撮影は「過去にも、車の中で1か月撮影したことはあったけど、当然、長い間同じ場所に居ることや同じ角度からの撮影にはいら立ったよ。撮影中は何もない独房だったため、そこにある物を使って演技を広げることさえもできなかった。でも、マジアルは実際にそんな独房に閉じ込められ、壁の前にずっと立たされ、目隠しもされたわけで、僕が演じたのは、そのわずかなものだ」と答えた。わずか2~3週間でも、その環境に嫌気がさすほどの厳しい撮影だったようだ。
映画は、さまざまな尋問をしてくる相手に、あらゆる感情の起伏を表現しながら返答するという難しい役を、ガエルは見事に演じている。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)