『卒業』のマイク・ニコルズ監督死去 83歳 心不全のため
映画『卒業』『バージニア・ウルフなんかこわくない』などを手掛けたマイク・ニコルズ監督が、現地時間19日に心不全のため83歳で亡くなったことがわかった。ABCニュースの社長ジェームズ・ゴールドストンが明かした。
【写真】追悼・マイク・ニコルズ監督『チャーリー・ウィルソンズ・ウォー』
ニコルズ監督は1931年にドイツのベルリンで生まれ、1939年にナチス政権のユダヤ人迫害によりアメリカに移住。一時期は医者になるためにシカゴ大学で勉強していたが中退し、1950年代にザ・コンパス・プレイヤーというキャバレーショーに参加。そこで即興演技を学び、女優・脚本家・監督のエレイン・メイとコンビを組んでナイトクラブで即興コメディーなどを行ったこともあった。
その後、舞台監督としてニール・サイモン原作の「裸足で散歩」でトニー賞監督賞を受賞。その成功からワーナー・ブラザースが映画監督経験のないニコルズ監督を雇い、『バージニア・ウルフなんかこわくない』を製作させた。同作はアカデミー賞で13部門にノミネート、5部門で受賞し、一躍注目された。
さらに『卒業』では、アカデミー賞監督賞も受賞。そのほか『キャッチ22』『シルクウッド』『ワーキング・ガール』『バードケージ』『クローサー』『チャーリー・ウィルソンズ・ウォー』などを手掛けたニコルズ監督。私生活では3度の離婚を経て、1988年にABCのニュースキャスター、ダイアン・ソイヤーと結婚していた。
『卒業』で主役に抜てきされたダスティン・ホフマンは、2000年のニューヨーカー誌のインタビューで「(『卒業』で)僕をキャスティングしてくれた以上に、勇気のあるキャスティングは20世紀にはない」と語っていた。(細木信宏 / Nobuhiro Hosoki)