ホームズだけじゃない!世界の名探偵ベスト10!-映画秘宝
イギリスの国民的ヒーローを現代によみがえらせた海外ドラマ「SHERLOCK(シャーロック)」の主人公シャーロック・ホームズを筆頭に、時代も国も性別も関係なく、常に映像の世界で愛され続けている名探偵たち。映画専門雑誌「映画秘宝」では、強烈な個性を発揮して難事件を推理する彼らを「世界の名探偵 BEST 10」として選出している。
「オレのイチ推し探偵」として順位は関係なく各ライターが推している「世界の名探偵 BEST 10」だが、筆頭はやはりホームズ(文・北原尚彦)。世界中にファンを持つ名探偵だけに、星の数ほど映像化されているホームズ作品だが、その中から北原氏は「誰にでもオススメ」という条件で英国グラナダTV製作の「シャーロック・ホームズの冒険」を選出。その一方で、個人的ないちばんのお気に入りとして挙げるのは「SHERLOCK(シャーロック)」だ。
スマホやネットを使いこなす、まさに現代版ホームズを描く本作。しかし北原氏は「原作での“変わり者”シャーロック・ホームズとしての側面をしっかり描いており、実際に身近にいたらさぞ嫌な奴だろうな、ということがひしひしと伝わってくる」と原作をリスペクトした魅力を解説。またベネディクト・カンバーバッチ演じるホームズとマーティン・フリーマンふんするワトソンのコンビを物語の主軸に据えた構成についても「原作の本質をよく捉えている」と称賛している。
一方、映画監督の入江悠が一番好きな探偵に挙げるのがエルキュール・ポワロ。ミステリーの女王アガサ・クリスティが生み出した名探偵で、紳士的ながら小男で太っていて頭髪も薄いという見た目は、多くの映像作品でも再現されている。それに対して入江監督は「フォルムとして完璧ですよね? 誰がやってもあの顔であの体形になる……」とコメント。「最近気づいたんですが、僕はデブが好きなんだなと」と告白すると、お気に入りのポワロ作品の魅力を分析しながら、「いつか僕もデブのおっさんを主人公にして探偵映画を撮りたいですね。糖尿病探偵とか」と展望を語っている。
そのほかにも、各執筆者がフィリップ・マーロウ、ミス・マープル、エイドリアン・モンク、明智小五郎、金田一耕助、さらには多羅尾伴内、遠山金四郎などいずれも劣らぬ探偵たちを選出、その魅力を語り尽くしている。また誌面では、10傑には入らなかったものの、ドラマや映画で活躍する魅力的な探偵たちを紹介。カンバーバッチがホームズを語るインタビューも掲載されており、ミステリーファン必読の一冊になっている。(編集部・入倉功一)
「映画秘宝 2015年1月号」は発売中 洋泉社刊 (税込み1,080円)