『劇場版ムーミン』監督、すでに続編も企画中!知られざる制作秘話
29日、映画『劇場版ムーミン 南の海で楽しいバカンス』のティーチインが六本木で開催中の「フィンランド映画祭2014」内にて行われ、グザヴィエ・ピカール監督と共に共同監督を務めたハンナ・ヘミラ監督が登壇した。
1945年に発表されて以降、漫画、絵本、テレビアニメとなって世界中の人々に愛されている「ムーミン」。本作は、原作者トーベ・ヤンソン生誕100周年を記念して、ムーミンの母国フィンランドとフランスで合同製作されたもので、ムーミン谷を抜け出して南の海へとバカンスにやってきたムーミン一家のドタバタ劇を描いている。
日本でも人気の高いムーミンだけあり、この日は多くのファンが本作を鑑賞。拍手で迎えられたヘミラ監督は、まずは本作誕生のエピソードを披露。実はムーミンの映画化オファーは、トーベのめいにあたるソフィア・ヤンソンがアメリカやヨーロッパなどから何度も受けていたが、トーベ原作のコミックをベースにした企画が一本もなかったことから実現しなかったと明かした。それを知ったヘミラ監督は、コミックや漫画を原作に映画を作る歴史があるフランスのグザヴィエ監督に話を持ち掛け、プロジェクトが動き出したという。
また、ムーミンのことを知っている人も知らない人も楽しんでもらえるように、本作では舞台をムーミン谷から南仏のリビエラに移したというヘミラ監督。「フランスではムーミンがあまり知られていない」とも明かし、「ムーミン谷とは文化や価値観、マナーが違う場所にムーミンたちを置くことで彼らのキャラクターが際立つ」という意図があったと語った。さらに、「トーベの繊細なドローイングの線を生かした作品にするため、紙に手描きした12万枚のドローイングをスキャンして映像にした」といい、苦労の末に出来上がった本作に「非常に満足しています」と笑顔を見せた。
そんな日本初公開となるムーミンの長編アニメーションに喜びを隠せないファンから、早くも続編への期待が寄せられると、ヘミラ監督は「原作にはバラエティー豊かなストーリーがあり、作りたいと思わせるストーリーがたくさんある。形になるかはこれからだが、実は続編の話はもう出ています」と報告し、ファンを喜ばせた。(取材・文:鶴見菜美子)
映画『劇場版ムーミン 南の海で楽しいバカンス』は2015年2月13日より全国公開
「フィンランド映画祭2014」は11月29日から12月3日までTOHOシネマズ 六本木ヒルズで開催