「はなちゃんのみそ汁」が広末涼子主演で映画化!
がんに侵され33歳の若さで逝去した母親が幼い娘にみそ汁を通して愛と生きる強さを伝えたノンフィクション・ベストセラー「はなちゃんのみそ汁」(文藝春秋刊)が広末涼子主演、滝藤賢一共演で映画化され、2015年秋に公開されることがわかった。4日、都内で製作発表会見が行われ、5歳の娘はなちゃんと「毎朝みそ汁をつくること」という約束を交わしこの世を去った母・安武千恵さんを演じる広末は脚本を読んで「たくさん笑い泣きした」と言い、「はなちゃんはもちろん、空にいるはなちゃんのママにも笑い泣きしてもらえる作品を作れるよう精いっぱい演じさせていただきたい」と意気込んだ。また、書き下ろしの新曲を主題歌として提供する歌手の一青窈が千恵さんの姉役で、『愛と誠』(2012)以来3年ぶりの映画出演を果たすことも明らかになった。
「はなちゃんのみそ汁」は、25歳で乳がんを患い、結婚・出産をへて肺への転移でがんが再発した千恵さんが明るい博多弁でつづった生前のブログと夫・信吾さんの手記でつづった感動作。2012年3月に発売され13万部を突破。今年の「24時間テレビ」(日本テレビ系)では同書を基にしたドラマも放送され話題を集めた。
会見に同席した原作者の安武信吾さんは「自分の家族の過去や今をさらけ出す作業は勇気がいることだったけど、観てくれた人が『あんな家族いいね』『家族の時間を大切にしたいね』と感じてくれれば、きっと千恵も喜ぶと思う。千恵の生きた証にもなるし、とてもありがたい」と映画化に感謝。同じく原作者の娘・はなちゃんは「お母さんは広末さんみたいにそんなに美人じゃない」と会場を沸かせ、「でも笑顔がとても似ているなと思いました」と母に思いをはせながら広末との共通点を挙げた。
信吾さんを演じる滝藤は「僕なんかが想像しえないような苦しいことや葛藤があったと思う。そのぶん楽しいことも。そんな安武さんの人生を生きたいと、とても強く思った。今日初めてお会いしたけど、もっとお話ししてより時間をかけて深めていって、安武さん家族に負けないような家族をみんなで作り上げたい」と力を込めた。二つ返事で出演を決めたという広末は、「出来上がった脚本がとても素晴らしくて、涙が止まらなかった。メイクさんに怒られると思って、保冷剤を買って現場に行く前に目を冷やした。でも、悲しいとか、つらい涙ではないと感じた。観てくださる人にもそういう気持ちになってもらいたい」と思いを口にした。
監督・脚本を務めるのは、第87回キネマ旬報ベスト・テン(2013)で日本映画ベスト・テン第1位に輝いた映画『ペコロスの母に会いに行く』(森崎東監督)で脚本を担当した阿久根知昭。「安武さんとお付き合いさせていただいて、千恵さんの話を毎日しています。お会いしたことはないがどこかにいると感じるくらい千恵さんのことを感じています」と言い、「闘病記という物語ではない。原作にもありますが夫婦の話で親子の話」と映画のストーリーに触れた。
一青は「2年前に24時間テレビで初めてはなちゃんに会って、ボロ泣きで歌えなかったんですが、今回は歌を作らせてもらえるということで、いっぱいはなちゃんと話をしてイメージを膨らませたい」と意気込むと、広末の姉役を務めることに緊張を隠せず「ときどきはなちゃんのことを考えて寝て、朝の3時くらいにバッと起きて、はなちゃんが乗り移ったかのように涙がボロボロで、勝手にイメージトレーニングしています。母を看病できなかったので、千恵を愛して看病したい」と役づくりに励んでいる様子をうかがわせた。
はなちゃん役は現在オーディション中。来春クラインクイン、同年秋全国公開予定。広末の映画主演は、『桜、ふたたびの加奈子』(2013)以来2年ぶり。会見では、はなちゃん手作りのみそ汁がふるまわれる場面もあった。(取材:鶴見菜美子、文:編集部・小松芙未)