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樹木希林、河瀬直美新作で主演「死ぬ死ぬ詐欺みたいね」

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河瀬直美監督を絶賛した樹木希林
河瀬直美監督を絶賛した樹木希林

 マルチアーティスト・ドリアン助川の著書「あん」が世界的映画監督・河瀬直美のメガホンで映画化され、樹木希林が主演を務めることがわかった。11日、都内で製作発表記者会見が行われ、河瀬監督と樹木が出席。昨年3月に全身がんだと明かし、治療を終えた樹木の体調は良好のようで、この日詰めかけた報道陣の多さに「トム・クルーズさん以来ですね」と満足げ。来年6月公開の映画であるにもかかわらず、早い段階で記者会見が行われたことに、「樹木さんの遺作として(宣伝側が)売りたいのではないでしょうか」と河瀬監督に言われたと樹木は明かし、「死ぬ死ぬと言って(死なないから)詐欺みたいね」と笑い飛ばした。

【写真】笑いを誘う樹木希林

 映画『あん』は、小さなどら焼き屋を舞台に、一人の老女と彼女を取り巻く人々が紡ぐ感動のドラマ。樹木は、どら焼きの粒あん作りに精を出し、店を繁盛させるが、ハンセン病患者であったことが知れわたり、店を去らざるをえなくなってしまう老女・徳江を演じる。

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 河瀬監督は「映画にするならぜひとも河瀬監督に」という言葉と共にドリアンから著書をもらったそうで、ハンセン病という難しい題材ながら「(心に)深く入っていく作品であり、難しいこととやさしいことなら、難しいことを選ぶ性格なのでやってみようと思った」と述懐。

 そんな監督の熱意に動かされた樹木は「全身全霊をかけてあなたの映画をやろうと思っている」と言葉をかけると、ハンセン病患者の施設を訪ねたり、お菓子の学校に通うなど、普段はやらない役づくりに挑戦したことも報告。そんな樹木の迫真の演技に河瀬監督は本番中に思わず涙したと振り返った。

 同時に樹木は、「70歳を過ぎて50何年も役者をやっていて、感性というものを具体的に要求されるのはちょっと……。たいていは男の監督だからごまかせるけど、女の監督はしんどかった」と苦労も吐露。しかし、「それにこだわる監督のすごさというのがわかりました。役者なら一度は河瀬さんの仕事をおやりになるといいんじゃない?」とその手腕を絶賛した。

 最後に行われたフォトセッションでは、小道具を「ない方がいいわ」とスタッフに片付けさせ、立ち位置も勝手に変えるなど、相変わらずのマイペースぶりで周囲を翻弄(ほんろう)し、笑いを誘った樹木。本作が遺作になるとは思えない、元気な姿を印象付けていた。

 また、先日この世を去った高倉健さんと菅原文太さんとのエピソードを聞かれると「深い深い話がありますが、せっかくの大スターに余計なことを言って水をささないようにと夫(内田裕也)に言われておりますので、すいません」と口を閉ざした。(取材・文:鶴見菜美子)

映画『あん』は2015年6月全国公開

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