オスカー・アイザックとジェシカ・チャステイン演技派共演の新作『A Most Violent Year』とは?
映画『インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌』のオスカー・アイザックと映画『インターステラー』のジェシカ・チャステインが、新作『ア・モースト・バイオレント・イヤー(原題) / A Most Violent Year』について語った。
ジェシカ・チャスタイン出演映画『インターステラー』フォトギャラリー
本作は、ニューヨーク史上最も犯罪の多かった1981年を舞台に、石油運搬会社を経営する移民者アベルがビジネス拡大を計画するも、石油運搬用トラックが強盗に襲われ、暴力、賄賂、汚職などの問題に直面していくというもの。オスカーが主役アベルを、ジェシカは、ギャングの父親を持つ妻アンナ役を演じている。映画『オール・イズ・ロスト ~最後の手紙~』のJ・C・チャンダーがメガホンを取った。
まず、脚本についてオスカーは「脚本自体は詳細まで記された内容の濃いものだったが、アベルの過去だけはほとんど記されていなくて、ミステリアスな感じを受けた。映画内で観客は、彼の取る行動によって(彼の性格や人柄の)ヒントを得て、映画全体を鑑賞してようやくアベルという人物が理解できる。彼は思考回路も速く、多くの情報も持っていて、さまざまな出来事にもまるで卓球のラリーのように対応できる」と説明した。
共にジュリアードで学んだオスカーとはライバル関係にあるのか。「わたしは、オスカーに対して競争心は全くない。彼のように俳優として上昇している人と共演することは、わたし自身の演技を向上させ、共演者が失敗すれば、わたしのシーンもヒドくなるから。それにオスカーの作品のプレミアに参加したりして、彼をサポートしてきた。セットでは彼と共演することが楽しく、オスカーが主人公アベルを通して、のし上がっていく姿が魅力的に感じられた」とジェシカは称賛した。
本作はスコセッシ作品と違い、主人公が暴力を踏みとどまる。「監督からはタイトルで(観客に)ギャング映画を想像させ、実際にはそうではないところが狙いで、ある意味アベルも平和主義者だと言われた。だが、俳優としてシーンを演じるうえでは、そのような情報はたいして役に立たなかった。なぜならアベルは、ギャングになりたいとは思っていないが、逆にギャングになる可能性を秘めたシーンが映画内には含まれているからだ。おそらく、そのような気性だから、妻のアンナも惹(ひ)かれていると思う」とオスカーが答えた。
映画は、家族を守るために苦悩するアベルの内面が克明に描かれ、完成度の高い作品だ。 (取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)