キーラ・ナイトレイの歌声に注目!『ONCE ダブリンの街角で』の監督が語る新作とは?
映画『ONCE ダブリンの街角で』のジョン・カーニー監督が、新作『はじまりのうた』について語った。
同作は、プロの歌手を目指してニューヨークで活動していたグレタ(キーラ・ナイトレイ)が、スター歌手の恋人デイヴ(アダム・レヴィーン)と別れていったんは帰郷を考えるが、友人に頼まれ参加したアマチュアのステージで、その場に居合わせた音楽プロデューサーのダン(マーク・ラファロ)の目に留まり、アルバム制作を持ちかけられるというストーリー。
製作のきっかけについて「僕は高校卒業時にバンドを組み、僕の周りにもA&R(アーティストの発掘、契約、育成、楽曲制作も担当する人物)がたくさん居て、彼らは(アイルランドで)次世代のU2を探していた。当時のA&Rの男たちはコカインを常用し、クレジットカードを無制限に使用する連中ばかりで、彼らは育成する自身のバンドをクラブに連れてきては、将来有望な他のバンドも探していた。ある日、そんなA&Rの男たちは今どうしているのか?インターネットが変えた音楽界で、彼らは今でも音楽を愛し、新たな曲を探しているのか? などと考えた」と明かした。
主人公ダンについて「実はマークがアイルランドで2年前に撮影していて、この役柄について話をしたんだ。その際に、映画『フレンチ・コネクション』のジーン・ハックマンのような1970年代の僕らの好きな作品について話し合った。このダン役は、そんな60年代から70年代初期の作品群の主役が持つ雰囲気を当てはめながら、役柄を作っていった」と語ったように、映画はダンが時代に取り残された形で始まっていく。
ニューヨークのタイムズスクエアでの撮影について「タイムズスクエアでの撮影をアイルランドで済ますのは無理だ。それに“タイムズスクエアの撮影”はプロデューサーに恐怖を与え、多くの人もそれは不可能だと言っていた。でも道をふさぐようなばかげたことをせず、撮影することを誰にも伝えなければ、撮影は可能だ。結局、撮影許可は下りなかったが、マークとキーラ、僕、撮影助手で撮影を行った。そしてその周りには実際のツーリストが居た。そのため、僕は全てのショットを2テイク撮るが、もう一つのテイクではツーリストが『キーラとマークだ!』と叫んでいるよ」と思い切った撮影を敢行したようだ。
映画は、夢を諦めかけた歌手とどん底に突き落とされたA&Rの男が共にはい上がっていく姿が魅力の作品。 (取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)