まるで全編がワンカットのよう!オスカー最有力候補『バードマン』主演マイケル・キートンが語る
マイケル・キートンが、オスカー主演男優賞候補の話題作『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』について語った。
同作は、かつてはヒーロー映画『バードマン』で一世を風靡(ふうび)し、現在は落ち目のリガン(マイケル)が、作家レイモンド・カーヴァーの短編を基に自ら主演兼監督を務める舞台劇で復活を図るが、個性の強い出演者(エドワード・ノートン、ナオミ・ワッツ)と衝突したり、疎遠の娘(エマ・ストーン)に悩まされるなど、混沌(こんとん)とした中でオープニングナイトを迎えるというもの。映画『バベル』のアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督がメガホンを取った。
まず主人公リガンについて「これまでの役柄の中で一番難しかった。映画内では数十秒ごとに全く違った感情表現をしていることが多かった。さらにそんな演技をしながら、困難なカメラワークも同時に撮影していたため、余計にその大変さを痛感した。でも、そんな困難な状況は個人的に好きだ」と語り、困難を迎え入れたことが良い結果につながったようだ。
まるでワンカットで撮影したようなカメラワークについて「アレハンドロ監督と撮影監督エマニュエル・ルベツキのチームが作り上げた映像は、ぜひ観てほしい。彼らの撮影により、キャスト陣それぞれが、自分の演技レベルを押し上げていく必要性があった。エマニュエルは、映画『ゼロ・グラビティ』の撮影よりも素晴らしい領域に達しているが、アレハンドロとエマニュエルは自身の撮影手法のアイデアに溺れることなく、ストーリーを展開させる上で、この撮影を行っていた」と絶賛した。
アレハンドロの演出は「シーンごとに『最高だ、素晴らしい』と言うが、その20分後に『君ならそれ以上の演技ができるはすだ』とも言ってきて、リクエストが大きくなることもあった(笑)」とちゃかすように答えた。今作でリガンは批評を気にするが、マイケル自身は「俳優なら勇気を持って自分に関して書かれたことは全て読むべきかもしれないが、2、3度批評を読んだら、それ以降読む気がうせた。もちろん、よほど良いことが記されていると勧められたら読むが、それ以外は読まない。ただ、これまで読んだ僕の批評はフェアな評価がされていた」と語った。
映画は、アレハンドロ監督の演出、エマニュエルの撮影、キャスト陣の演技、全てにおいて完成度の高い作品。 (取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)