オスカー最有力候補のジュリアン・ムーアが語る若年性アルツハイマー病を描いた映画とは?
今年のアカデミー賞主演女優賞最有力候補のジュリアン・ムーアが、新作『アリスのままで』について語った。
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本作は、大学で言語学の教鞭を執る50歳のアリス(ムーア)が、若年性アルツハイマー病と診断され、家族に支えられながらも徐々に記憶が低下する中、ビデオに自分の言葉を残していくというドラマ。リチャード・グラツァー、ワッシュ・ウェストモアランド共同監督が、作家リサ・ジェノヴァ原作の「静かなアリス」を映画化。アレック・ボールドウィン、ケイト・ボスワース、クリステン・スチュワートらも出演。
アルツハイマー病に関して「わたしの周りにアルツハイマー病を患っている人が居なくて何も知らなかったから、アルツハイマー病の母親と祖母のいる今作の製作者から話を聞いたの。それから米国アルツハイマー病協会が、初期のアルツハイマー病の女性患者との面会をSkypeを通してセットアップしてくれた。その後、アルツハイマー病のサポートグループ、さらに施設に長期入っている患者と世話人、そして家族とも話した。そしてドキュメンタリー映画も鑑賞して、完全にアルツハイマー病を自分の中に浸透させていった」と語った。
リサ・ジェノヴァの原作について「本当にリサの原作は素晴らしかった。なぜなら、彼女はアルツハイマー病をアリスの主観だけで完全に記していたから。アルツハイマー病の患者であることがどういうことで、患者としてどう感じるのかなどは、わたしはこれまで読んだ書物では知ることができなかった。そしてリッチとワッシュ監督は、患者の複雑な環境や家族を映画的にシンプルに描いてくれた」と感謝した。
最も挑戦的なシーンは「(アルツハイマー病と診断され)アレックとわたしが演じる夫婦が、子供に自分の病気を伝えるシーンね。彼女はまだ身体的な低下を感じていなくて、言葉もはっきりしていて、今を生きている。でも彼女は今後の子供との関係を懸念し、さらに子供に若年性アルツハイマー病が遺伝している可能性があることも伝えなければいけないの。だから、どのようにシーンが始まり終わっていくか、一日中心配していたわ」と語った彼女は、見事に感情的なシーンをこなしている。
映画は、高学歴のアリスの記憶が低下していく姿がリアルに描かれ、いかにこの病気を支える周りの環境が必要かも十分に伝わってくる作品。 (取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)