パリ・オペラ座バレエ団の芸術監督を務めるナタリー・ポートマンの夫とは?
映画『ブラック・スワン』の振付家でナタリー・ポートマンの夫、そして現在はパリ・オペラ座バレエ団の芸術監督を務めるバンジャマン・ミルピエを描いた映画『ダンシング・イズ・リビング:バンジャマン・ミルピエ(原題) / Dancing Is Living : Benjamin Millepied』について、ルイ・ウォレカン監督が語った。
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本作は、『ブラック・スワン』の振り付けで世界中に名をはせたバンジャマンが、さまざまなダンスを取り入れたL.A. ダンス・プロジェクトを立ち上げた過程や、ガブリエル・チャーター・スクール(公募型研究開発校)で少年少女にダンスを教える姿を描いたもの。
ルイ監督は、ダンス映画を撮ったことがなかったそうだ。「今作は(さまざまな場所を訪れる)バンジャマンを追いかけながら直感的に撮影した。あえて、ダンスの世界からのアプローチを試みず、ダンスに使用される音楽からのアプローチを試みた。そんなダンスの世界に精通していない僕だからこそ、バンジャマンから監督を任せられたと思う」と語った。さらに「彼は僕の撮影を信用してくれて、彼の方からあまり指示をしてこなかった。それは振り付けの際も同様で、特に彼がガブリエル・チャーター・スクールの子供たちに教えていたときには、自由にダンスをさせていた」と、バンジャマンが個性を伸ばす演出を行うことを述べた。
バンジャマンはニューヨーク・シティ・バレエ団で活躍していたが、その頃の映像が少ないのは「実際にはニューヨーク・シティ・バレエ団に彼の映像を要求したが、許可が下りなかった」とのことで、ここ数年の彼の活躍を映し出している。その一つがL.A. ダンス・プロジェクトの立ち上げで、そのダンサーの選択については「彼はダンス技術よりもダンサーの個性を重視し、さらに古典バレエにとらわれず、新たなダンススタイルを取り入れられるダンサーをオーディションで選んだ」と過程を明かした 。
映画構成について「今作はドキュメンタリーだが、直接バンジャマンにインタビューした映像は少ないのが特徴で、彼と共にコラボしている作曲家、ダンサー、さらに生徒を通して彼の性格を垣間見ることができる。そのため、印象主義(事物から受けた主観的な印象をそのまま表現したもの)の撮影の仕方だと思う」と話した。
映画は、バンジャマンがパリ・オペラ座バレエ団の芸術監督に就任するまでの彼の活動を観ることができ、その才気をうかがわせる作品になっている。 (取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)