原発事故のため町全体で移住した双葉町のドキュメンタリー第二部、ベルリンの観客の反応は?
第65回ベルリン国際映画祭
現地時間12日、第65回ベルリン国際映画祭フォーラム部門で映画『フタバから遠く離れて 第二部』が上映され、舩橋淳監督が登壇した。過去にも数本の作品を出品してきた本映画祭常連ともいうべき舩橋監督。第一部にあたる『フタバから遠く離れて』も2012年の同部門で上映されている。
福島第一原発事故により避難を強いられた福島県双葉町の人たちが、埼玉県加須市にある旧騎西高校へ全町避難をした後9か月を追ったのが第一部で、それから現在までの約3年の記録が本作だ。学校の美術室で暮らす、その多くは年老いた町民たちの日々や、遅々として進まない町再建の様子をつぶさに追っていく。400時間分撮ったという映像を2時間にまとめた労作だ。
上映後のQ&Aに登場した舩橋監督は、「町民同士があちらは2万円多くもらっているなど言う場面があります。町が分断され、その中で争いが起きている。まだ終わっていない、進行している問題を撮る難しさがあります。この映画を世界各国で見せて回るのは町民を傷つけるのではないか。でも、これで考えてくれたらいいという結論に達しました。TEPCO(東京電力)と政府に町民は放っておかれ、イライラを募らせています。それがエッセンスです」と語った。
「家や土地の保障は100%ではなく約40%です。なぜかというと、いずれ戻れるからという理由。それではいつ戻れるのかと聞くと、それには答えない」と時に怒りで語気を強めて舩橋監督が話す間、水を打ったように静かに集中して聞く観客の様子が印象的だった。(取材・文:山口ゆかり / Yukari Yamaguchi)