伊藤計劃『虐殺器官』『ハーモニー』『屍者の帝国』の世界観が最新映像で明らかに!
2009年に34歳の若さで病死した小説家・伊藤計劃(けいかく)さんの「虐殺器官」「ハーモニー」、さらに伊藤さんの遺稿を芥川賞作家で盟友の円城塔が書き継いだ「屍者の帝国」の三作を劇場アニメ化する「Project-Itoh」から、三作の映像が合わさった最新映像が公開された。
フジテレビ系の深夜アニメ枠「ノイタミナ」による「ノイタミナムービー」第2弾として発表され、話題を呼んでいる本作。公開された映像は、劇場のみで限定公開されていたもので、三作の映像がつなぎ合わされ、それぞれ独自の世界観を楽しむことができる。
テロとの戦いが一変した世界を舞台に、米軍特殊部隊の大尉が世界各地で起こる紛争の背後に存在する謎の男を追跡し、明らかになる真実を描く『虐殺器官』の映像では、激しい銃撃戦や、燃え盛る街の様子、銃を構えた人物がこちらを見据えるシーンなど、緊張感あふれる場面が披露されている。
一方、「大災禍」と呼ばれる世界規模の混沌から復興した健康志向の世界で、見せかけのユートピアに抵抗して自殺を選択した3人の少女のその後を、生き残りの少女を中心に描き出す『ハーモニー』では、近未来的な街が映し出され、印象的な赤髪の主人公・霧慧トァンの姿を垣間見ることができる。
映像で最後に登場する『屍者の帝国』は、「死体蘇生技術」の発達で「屍者」を労働力として活用している19世紀末のロンドンを舞台に、英国政府の秘密組織からの密命を受けた医学生が、生きている者のように意志を持って言葉を話す「屍者」を生み出す技術が記された伝説の書物をめぐって旅する物語。頭に機械を取り付けた人々がとある部屋に集まり、それぞれ机に向かっているシーンでは、「屍者」を労働力とする世界の特殊な雰囲気が漂っており、その後に登場する生きている人物の強いまなざしが、「意思」を持つかどうかという「屍者」との違いを感じさせる。(編集部・吉田唯)
映画『虐殺器官』『ハーモニー』『屍者の帝国』は2015年公開予定