衝撃作『KIDS/キッズ』のラリー・クラーク監督がパリで手掛けた新作とは?
衝撃作『KIDS/キッズ』を手掛けたラリー・クラーク監督が、新たにパリを舞台に製作した映画『ザ・スメル・オブ・アス(原題) / The Smell of Us』について、主演女優ダイアン・ローゼルと製作主任アルベルティーヌ・フルニエが語った。
本作は、パリの若いスケートボーダーたちを描いた作品。近代美術館の前でスケボーに明け暮れる少年マス(ルーカス・イオネスコ)、パックマン(テオ・チョルビ)、JP(ヒューゴ・べアール=ティニェーレ)は、お金を稼ぐためにエスコートサービスで働き、女友達のマリー(ダイアン)がそんな彼らに振り回されていくさまが描かれる。クラーク監督は、マチュー・ランデと脚本を共同執筆し、ロックスター役で出演もしている。
『KIDS/キッズ』には、ニューヨークのワシントンスクエアに居た若者を出演させたが、今作は「キャスティングは2人の人物が行った。若者キャストはスケボーなどストリートカルチャーに精通したマーロンという人物が、スケボー少年を集めてくれた。大人のキャストは、フランスで長編映画のキャステイングをしてきたファビエンヌ・ビシェットが担当した。およそ1年半かけて今作のキャスティングを行い、その間に製作者が資金を調達したわ」とアルベルティーヌが説明した。
ダイアンは出演経緯について「実は彼の作品の鑑賞前に、彼の写真集を見たの。わたしには女優の親友が居て、わたしも女優に憧れていたけど、舞台にさえ出演したことがなかった。でも今作への出演が決まり、今作のためにそれまで自分がしていたことを全てやめた」と明かし、さらにクラーク監督の演出については「リハーサルや正式なキャスティングはなかったけど、監督はわたしがルーカス、テオ、ヒューゴらとパーティーで夜を過ごしている姿を観察し、その間にわたしはキャストとおよそ1年間かけてグループとして仲良くなっていったわ」と語った。
クラーク監督自身が今作に出演したのは「彼自身はわたしたち俳優にすごく難しい役を演じさせていたため、彼自身も出演者と同じように難しい役に挑戦したの」とダイアンが話すと、アルベルティーヌは「出演者を一致団結させるために参加したけれど、実際にはこの役を演じるはずだった別の俳優が足をケガして、彼が出演することになったの」と明かした。
映画は、『KIDS/キッズ』ほどの衝撃は受けないものの、スケボー少年の等身大の姿を克明に描き出している。(取材・文 細木信宏/Nobuhiro Hosoki)