安倍首相夫人、被災地の防潮堤建設の再考を訴え掛ける
安倍晋三内閣総理大臣の妻・安倍昭恵さんが7日、中央大学後楽園キャンパスで行われた映画『赤浜Rock'n Roll』学生試写会に来場し、小西晴子監督と共に被災地の防潮堤整備計画の再考を訴えた。
国と岩手・宮城・福島3県は約1兆円を投じて、沿岸総延長390キロメートルの巨大防潮堤整備を計画するも、「海が見えなくなる」「生態系が崩れる」「巨額の維持管理費が財源不足の地方自治体には負担」などの理由により、岩手県大槌町の人たちはこの巨大な防潮堤にNOを突きつけている。本作はその様子を映し出したドキュメンタリー映画だ。
映画を観た東北出身の学生から「(被災地のために)自分ができることは小さいなと思って心が折れかかっていましたが、映画を観て、折れないで続けないといけないなと思いました。外の人間ができることは?」と質問を受けた昭恵夫人は、「わたしもよくフォーラムを行っているんですが、来るのはやっぱり関心がある人だけ。ですから、関心のない人に届けるのに映画というのは大きな役割を果たします。大学でこの映画の自主上映会をやるのもいいかなと思います。監督も来てくれるでしょうし、わたしも呼んでいただければうかがいます」と協力を誓った。
学生に向けて「何が本当に大事なものなのか。しっかりと見極められる大人になってもらいたい」と切り出した昭恵夫人は、「国からも復旧予算がありますと言われ、そしてもう怖い思いをしたくないから防潮堤を作ってくださいという住民もいる中、行政が防潮堤を作るという決断を下すのはある意味当たり前かなとは思います。でも、しばらくして周りの状況を見たとき、本当に大切なものが何なのかと気付いたときは、たとえ動き出したものであっても、変える勇気を皆さんには持ってもらいたい。それが本当のリーダーじゃないかなと思います」と語りかけた。
さらに「わたしもこの防潮堤の問題から、縦割り行政の弊害など、いろいろなことを学びました。日本は海に囲まれた島国であり、海と陸を分断するということは、命を削ることだと思います。すでに防潮堤の工事は進んでいますが、わたしはまだまだ諦めておりません。あらためて自然の大切さを発信していきたいと思います」と誓いを立てていた。(取材・文:壬生智裕)
映画『赤浜Rock'n Roll』は5月2日より新宿K's cinemaほか全国順次公開