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目指したのは「音楽の肉体化」!『セッション』鬼音楽教師の上腕二頭筋が強調された理由

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圧倒的な上腕二頭筋 - フレッチャー役のJ・K・シモンズ
圧倒的な上腕二頭筋 - フレッチャー役のJ・K・シモンズ - (C) 2013 WHIPLASH, LLC All Rights Reserved.

 本年度アカデミー賞3冠をはじめ世界の映画賞を席巻した映画『セッション』のデイミアン・チャゼル監督が、完璧な音楽を求めるあまり教え子ニーマン(マイルズ・テラー)に対し椅子をぶん投げ、ビンタを食らわせ、罵声を浴びせるという、J・K・シモンズがふんした鬼音楽教師フレッチャー、そして圧巻のラストシーンについて語った。

上腕二頭筋がすごい!鬼音楽教師フレッチャー写真ギャラリー

 劇中、フレッチャーは暗闇の中から浮かび上がるように登場し、鍛え上げられた上腕二頭筋がいやに目に付く。チャゼル監督は「本作での実際の暴力シーンは2場面くらいしかないんだ」と切り出すと、「物理的な暴力ではなく音楽を通しての恐怖がこの映画の核になっているから、それを表現するためにフレッチャーはその肉体を持っていなければならなかった。どこか粗暴な、獣のような恐怖、脅威を感じさせるようなものを持っていなければいけなかったんだ」と説明する。

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デイミアン・チャゼル監督
監督にとって音楽は“恐怖”だった - デイミアン・チャゼル監督とドラム - (C) 2013 WHIPLASH, LLC All Rights Reserved.

 それを表しているのが、フレッチャーの筋肉質な体、ギャングみたいな雰囲気、全身黒の衣装、姿勢、そしてちょっと軍人っぽいところとのこと。チャゼル監督は「体を作るっていうのは実はJ・Kのアイデアなんだよ。そういったことによって、『音楽の肉体化』を表現しようとしたんだ」と振り返った。

 フレッチャーはチャゼル監督いわく「悪役」だが、なぜ彼がそういう指導をするのかも丁寧に描くよう心掛けたという。「ある種の教育法で確かに人の才能は飛躍的に伸びるかもしれないけれど、でもどこまでがやりすぎで、どこまでがそうじゃないのかという、そのジレンマの部分を今回掘り下げたかった。フレッチャーの目的は一つしかない。偉大な才能を磨きたいんだ。それを追求して生きているから、完璧なもの以外は興味がない」。

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 また、高く評価されているラストのドラム演奏シーンについては、音に合わせた絵コンテを全て用意した上で細かくカメラワークを決め、全撮影期間19日のうち3日を費やして撮影。その撮影した何百という細かいシーンを編集して作り上げた。編集時も、ラストシーンから先に集中して作業したというこだわりようだ。

 フレッチャーと対峙(たいじ)して圧巻の演奏を見せるニーマンは、一心不乱にドラムをたたくあまりこのまま死んでしまうのではと心配になるほど。チャゼル監督は「本当に死にそうになるくらいたたいているっていうのは、まさに僕が求めていたことなんだよ(笑)。常軌を逸するほどに激しく音楽に没頭して、ひいては音楽に殺される。実際にそこまで描くつもりはなかったんだけど、それをほのめかすような表現というのを追求した結果なんだ」とラストシーンに込めた思いを明かした。(編集部・市川遥)

映画『セッション』は公開中

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