八千草薫&仲代達矢の「最高のラブシーン」 故岡本監督妻、デビュー作に感無量
16日、八千草薫と仲代達矢が共演した映画『ゆずり葉の頃』の完成報告会見が都内で行われ、八千草、仲代のほか、風間トオル、山下洋輔(音楽)、宮廻正明(劇中画)、中みね子監督が出席。中監督は「夢の中にいるみたいです。ダメかなと思いますといろんな方が助けてくれて、この映画が出来ました」と感無量の面持ちを見せ、八千草と仲代のダンスシーンについて「わたしが撮れる最高のラブシーンを撮ろうと思いました」と愛おしそうに語っていた。
同作は故岡本喜八監督の妻でプロデューサーである岡本みね子が、旧姓の中みね子として76歳にして初めてメガホンを取った人間ドラマ。過去を封印して生きてきた年老いた女性・市子が、思い出の絵を捜す旅を通して彼女の人生と戦後の貧しい状況の中で胸にしまっていた思いが明かされていく。
市子を演じた八千草は、「数年前にみね子さんから『一緒に映画を撮らない?』と言われたのがきっかけでした。試写を観てとうとう出来たんだなと感無量でした」と万感の思いを語り、「大きな会社とは違って資金もとても少なくて映画になるのか不安でしたけど、撮影が始まって皆さんが一生懸命な状況で仕事すると、今までと違う力が湧いてくるみたいで。 いろいろなことがいい結果になって、映画が完成されて良かったと、とてもありがたく思いました」とコメント。
市子が思いを寄せる画家・宮謙一郎を演じた仲代も、「わたしも長い間役者をやっておりますけど、若いころは岡本喜八監督と岡本みね子さんにさんざんお世話になりました。残念ながら喜八監督は数年前にお亡くなりになりました。でも、素晴らしい映画だと思います。喜八監督にこの作品をささげたいと思っています」と目を細めた。
また仲代は「わたしは八千草さんと共演する作品が数多いですが、いつも感心するのは八千草さんという女優は常に初々しくて。この映画を90%支えているのは八千草さんだと思っています」と感謝。八千草も「仲代さんはとは随分ご一緒させていただきました。今度も安心というか、信頼して仲代さんに付いていけばいいんだという気持ちでした」とお互いの印象を語り合っていた。(中村好伸)
映画『ゆずり葉の頃』は5月23日より公開