波瑠の“女優力”を引き出した!『アゲイン』大森寿美男監督が撮影秘話を語る
直木賞作家・重松清の小説を基に、かつての高校球児たちが再び甲子園を目指す姿を描いた映画『アゲイン 28年目の甲子園』。メガホンを取った大森寿美男監督が「キャスティングは満点だった」と太鼓判を押すように、中井貴一、柳葉敏郎らベテラン勢に加え、波瑠、太賀、門脇麦ら注目の若手俳優陣が素晴らしいドラマを織り成している。中でも目を奪われるのは、ヒロインを演じた波瑠の輝き。中井との共演が波瑠に「とてもいい影響を与えた」と語る大森監督が、撮影の舞台裏を明かした。
【動画】『アゲイン 28年目の甲子園』波瑠メイキング特別映像
物語は、主人公・坂町(中井)のもとに、元野球部仲間の娘・美枝(波瑠)が訪ねてくるところから始まる。美枝は、かつての球児たちが甲子園に再挑戦する「マスターズ甲子園」のボランティア活動をしており、坂町を誘いにきたのだが、坂町にはこれまで避けてきた美枝の父との苦い思い出があり……。
中井を主役に起用したことについて大森監督は、「坂町と同世代で、複雑な心情を的確に、リアリティーをもって演じられる人は中井さんしかいないと思った」と述懐。その一方で、ヒロインの波瑠については、「かねてから注目していた女優の一人。美枝を演じることによって、彼女がどう変化していくのか。まったく先が読めず、想像がどんどん膨らむところが逆に魅力的」と未知数にかけた。
とはいえ、クールで凛(りん)としたイメージが強い波瑠に、中井を相手に感情を激しくぶつける美枝役は一つの挑戦だ。これに対して大森監督は、「彼女は器用なので、何でも普通にこなせてしまう。だから今回は、自分の中にある熱い気持ちをさらけ出してほしいと強く要求した」と回顧。さらに、「戸惑い、迷いながら、必死に答えを見つけていく過程を、美枝の心情と重ねたかった」と胸の内を明かした。
そして、波瑠の新たな“女優力”が開花する瞬間が訪れる。それは、坂町にまるで父親のように本気で怒鳴られ、美枝が泣き崩れるシーンだ。「何度も何度もリハを重ねた結果、本番は一発オーケー。ワンシーン、ワンカットで撮り切った。あの表情は計算し、コントロールしたものじゃない、自分の感情から湧き出たもの。二度と撮ることはできない」と称賛する。ベテラン中井の大きな胸を借り、苦悩しながらも大森監督の期待に応えた女優・波瑠は、本作で確実に進化を遂げた。(提供:ポニーキャニオン)
映画『アゲイン 28年目の甲子園』ブルーレイ&DVDは発売中