BBCの最先端技術でリスの貴重な食事シーンを撮影!監督が明かす撮影秘話
BBCアースとピクサー・スタジオがタッグを組んだ新感覚のネイチャードキュメンタリー映画『小さな世界はワンダーランド』のマーク・ブラウンロウ監督が初来日し、東京・Apple Store,Ginzaで行われたトークイベント「Meet the Filmmaker」に出席して、最先端の技術を駆使した撮影秘話を明かした。
エミー賞を受賞したBBCのネイチャードキュメンタリー「プラネットアース」ほか、野生動物のドキュメンタリーを数多く手掛けてきたブラウンロウ監督。本作では、シマリスとスコーピオンマウスという小動物の視点から、自然の厳しさに直面し成長していく姿をハートフルに活写する。
リスたちの視点を選んだ理由を「人間の足元に暮らす生き物たちは、物理的なスケールも時間の長さも、人間と全く違う世界に生きています。観客に身長20センチの大きさになってもらい、どんな世界が見えてくるか体験してほしいと思った」と話したブラウンロウ監督。「でも、そのためには困難の連続でした」と過酷を極めた撮影を振り返った。
「小動物を撮るレンズがそもそもないので、低く奥行きを出せる“潜望鏡レンズ”を作ったんです。長い棒の先にレンズが付いていると思ってください。彼らの素早い動きを追うために1秒1,000コマまで撮れる超ハイスピードカメラを使い、40倍のスローモーションが可能になりました。さらに3Dにするため、カメラが全種類2台必要になる。リスのミクロな世界に、大量のカメラをいかに持ち込むか。リスが巣穴でドングリを食べるシーンは、専門家も見たことがないと驚いていました。あれはわたしの誇りです」と笑顔で話す監督。
この日、司会進行を務めた野生動物のスペシャリスト・新宅広二氏は、「ネイチャードキュメンタリーというと『お勉強』というイメージがあるが、科学的ベースがしっかりしていて、しかもこんなに楽しめる映画というのは……BBCっていつも時代の一歩先を行っているなと思います」と本作の魅力を分析。ブラウンロウ監督は「子供のころに、部屋にアマガエルを何匹も飼って、鳴き声を聞きながら寝ていました。シマリスもかわいいけれど、生き残るのは300匹に1匹しかいない。精いっぱい生きている彼らを応援したくなりませんか」とアピールしていた。(取材・岸田智)
映画『小さな世界はワンダーランド』は5月9日よりTOHOシネマズ新宿ほかで全国公開