17歳の新人女優、撮影初日に貧血で倒れる
ミニシアター「ラピュタ阿佐ヶ谷」の代表・才谷遼が初監督した映画『セシウムと少女』の初日舞台あいさつが25日、ユジク阿佐ヶ谷で行なわれ、才谷監督と共に主演の白波瀬海来(しらはせかいら)、共演の金野美穂、川津祐介、なんきん、飯田孝男が撮影を振り返った。
本作は、17歳の少女・ミミ(白波瀬)が、おばあちゃんの逃げた九官鳥を探すうち、日本古来の神様たちに出会い、おばあちゃんが10代を過ごした戦時中や、原発事故でセシウムの飛散した現代の東京を駆け巡る冒険ファンタジー。日本の近代史をコラージュで見せるメッセージ性と、アニメーションを多用したポップな映像が見どころとなっている。
映画初主演の白波瀬が「周りはベテランの俳優さん、スタッフさんばかり。台本も難しくて、撮影初日は緊張から貧血で倒れてしまったんです。でも現場の空気は、とても温かかったです。(おばあちゃんの10代のころを演じた金野)美穂ちゃんとは同じ年なので安心感がありました」と振り返ると、金野も「2人が初対面する銭湯のシーンは、せっけんの泡をイメージした水着で歌って踊って。ちょっと恥ずかしかったけど見どころです」と笑顔で白波瀬と視線を交わす。
海神・うみさんを演じた川津は「二人は演じるというよりも、現場が楽しくてしょうがないというところが、そのまま出ているのがいい。うまくやろうとすると、観ている方がつらくなるんです。知らないおじさん(=川津)と仲良くしてくれた。僕と映画に出た女優さんは、みんなスターになるから安心してね」とコメント。
大学時代に岡本喜八監督に師事し、映画監督を夢見ていたという才谷監督。62歳の新人監督として満を持してのデビューに「今、作っておかないとという思いがありました。役者さん、スタッフさんが一流なら、映画はきちんとできるんだと実感しました。映画ってやっぱりおもしろい。次は、魔法少女ものを撮ろうかな」と早くも意欲を見せる。これに川津は「才谷監督は今の時代を憂いつつ、それを楽しく笑いで見せることができる。ワハハと笑って見終わったあと、あれ? って考え始める、そんな映画」と本作の魅力を紹介した。(取材/岸田智)
映画『セシウムと少女』はユジク阿佐ヶ谷ほか全国順次公開