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2人の映画監督が、最高の反戦ドキュメンタリー映画と呼ばれる理由を熱っぽく分析

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記念トークショーにに出席しいま本作を観る重要さを語り合った鶴田法男監督(左)と松江哲明監督
記念トークショーにに出席しいま本作を観る重要さを語り合った鶴田法男監督(左)と松江哲明監督

 反戦ドキュメンタリーの最高傑作ともいわれる映画『ハーツ・アンド・マインズ/ベトナム戦争の真実』(1974年)が、現在リバイバル公開されている。4月30日にベトナム戦争終結40年の節目を迎える28日、東京・新宿武蔵野館での記念トークショーに、Jホラー界の巨匠・鶴田法男監督とドキュメンタリー作家・松江哲明監督が出席し、いま本作を観る重要さを語り合った。

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 『ほんとにあった怖い話』シリーズの鶴田監督は、実は本作とは深い縁があるという。「監督になる前、ビデオソフト会社に勤めて、そこの社長に『アカデミー賞を取ったすごい作品がある』と持ちかけて、1987年にVHSで発売したんです。ドキュメンタリーは見向きもされない時代でしたが、観られるべきだと思って。1975年に(本作が)日本でテレビ初放映されたときは中学生でしたが、これが本当の戦争か、戦争は娯楽じゃないと、ショックだった。危機感や不安が自分の表現の核になったのは、そのときからかも」と、影響を語る。

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 一方、「2010年の本邦初劇場公開で、初めて観た」という松江監督。「可能な限り、ベトナム戦争の全部を撮ろうとしていて、結論ありきで撮っていないし、単純に反戦を謳うわけじゃない。でもちゃんと作れば、反戦になる、それが優れた戦争映画だと教わりました。証言がいろいろ出てきますが、ちゃんと観ると、どれが真実か自然にわかる。観る側のリテラシーを信じて編集しているんです」と、傑作と呼ばれる由縁を分析。さらに「現代人が過去にタイムスリップして、今の視線で戦争を語る映画が多いですが、ぼくは嫌いですね。あんなのより、こういう名作を観る方がずっと大事」と、安易な映画作りに苦言も。

 「メッセージ性という要素が、かつての映画にはあった」と言葉を継いだ鶴田監督は「本作は映像資料として200年後にも意味のあるもの。観れば、未来を考えるきっかけにもなる。ベトナム戦争から40年、第二次大戦から70年の今年。日本のきな臭い現状を考えるためにも、よくぞリバイバルしてくれました」と、いま本作を観るべきと強調していた。

 第47回アカデミー賞(1975年)ドキュメンタリー長編賞を受賞し、『地獄の黙示録』などのベトナム戦争映画に多大な影響を与えた本作。利己的な正義を説く政治家。殺戮を楽しむ兵士。爆撃で家族を失う農民の一方で、私欲に走るベトナム人資本家と、心身に傷を負った米帰還兵の悔恨。さまざまな証言、記録映像を積み重ね、戦争の実像に多角的に迫る。(取材/岸田智)

映画『ハーツ・アンド・マインズ/ベトナム戦争の真実』は東京・新宿武蔵野館、大阪・シネ・リーブル梅田で公開中 その後全国で順次

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