松重豊、杏との3度目父娘役は“変態親子”?
俳優の松重豊が28日、都内で行われた、映画『百日紅 ~Miss HOKUSAI~』ジャパンプレミアに、杏、濱田岳、清水詩音、原恵一監督と共に出席した。本作で3度目の父娘役を務める松重と杏だが、松重は「(今回は)変態親子で面白い」と意外な見どころをアピールし、会場を沸かせた。
本作は、杉浦日向子の傑作小説(漫画)初の長編映画化。葛飾北斎(松重)の娘である浮世絵師・お栄(杏)と父、その仲間たちの江戸で自由闊達(かったつ)に生きる姿が四季を通して描かれる、爽快な浮世エンターテインメント。この日、キャスト陣は、劇中のイメージそのままの鮮やかな着物姿で舞台あいさつに登場した。
今回がアニメーション声優初挑戦となる松重は「この年まで声優という仕事に本当に憧れていまして、52歳でやっとデビューできました」と晴れやかな笑顔。とはいえ、演じるのは世に名だたる葛飾北斎とあり、「ビッグネームの役に大変プレッシャーがありました」と苦労も吐露。それだけに、達成感は人一倍のようで「本当にすてきな作品に仕上がっています」と胸を張る。娘役を務める杏も、「これからどんどんいろんな方に観ていただけると思うと楽しみです」と期待に胸を膨らませている様子だった。
作品について松重は「ホームドラマがリアルに描かれている」そうで、「杏ちゃんとは何度も親子をやらせてもらっているが、この親子も変わった“変態親子”で面白い」と意外な見どころを紹介。また本作で描かれる生活風景が、記憶にある昭和の景色とダブルそうで、「江戸と昭和は遠くないんだな。でも昭和と平成の今はすごく遠くなっちゃった気がする。そこから日本人の情緒や情感をもう一度再確認しようかなと思う部分もあった」と独自の見解も示した。
この日は、本作が第39回アヌシー国際アニメーション映画祭の長編コンペ部門に正式出品されることも発表。原監督としては、『カラフル』(2011年出品・長編部門審査員特別賞&観客賞受賞)以来4年ぶりの出品となり、「アヌシーはとても楽しいフェスティバル。何かがもらえればもっとうれしい」と最高賞獲得に期待を寄せた。(取材・文:鶴見菜美子)
映画『百日紅 ~Miss HOKUSAI~』は5月9日より全国公開