山下智久の演技は妖精感がある「アルジャーノン」野島伸司が絶賛
TBS系で放送中の山下智久主演ドラマ「アルジャーノンに花束を」が、30日に全シーン撮影終了となるオールアップを迎え、脚本監修を務める野島伸司がロケ地の東京・丸子橋に駆け付け、山下に花束を渡して撮影終了を祝福した。山下の演技について野島は、「彼はデリケートに繊細に難しい役をつくり上げていっています。限界的な努力によってはじめてたどり着けるものだと思うし、今までに観たことのない唯一無二の妖精感がある演技になっていると思う」と絶賛して、山下の労をねぎらった。
ダニエル・キイスの不朽の名作を基に、幼児並みの知能の知的障害者・白鳥咲人(山下)が、知能を向上させる先端手術を受けて天才的な知能を手に入れるものの、代わりに愛や憎しみ、喜びや孤独を知ることになる姿を描く本作。「高校教師」「明日、ママがいない」など挑戦的なテーマに挑んできた野島が、本作でも人間の心の真実に迫る。
過去に何度も映画化・ドラマ化された名作だが、野島は「今回原作を読み返して、今の自分には物足りなさを感じる部分もあり、原作にない創作も入れた。柳川(窪田正孝)や檜山(工藤阿須加)、梨央(谷村美月)ら、共演の人物と主人公の関係が骨格になっている」と話し、「本当にいいキャスティングができたと思います。かつてテレビドラマは文化や流行の中心で、若い人の心に刺さるものだった。価値観が固定していない若い人を刺激したいし、簡単に消費されない、すぐに忘れ去られないドラマを作りたい」と尽きない創作意欲を語った。
さらに「(山下は)ギリギリのラインを模索しながら、オーバーアクションにもならず、純粋性を取り出すように演じてくれている。彼のおかげで癒やし効果と浄化作用のドラマになった。この役は、山下くんが役者として変わる分岐点になるんじゃないかと感じていた」と話し、花束で山下を祝福。山下も「進むのか、とどまるのか。二つの選択肢があったら、難しい方をチョイスして、生きがいを感じられる人生を選ぶこと、それをこのドラマから学びました。一皮むけた次の自分で皆さんにまたお会いしたい」と現場スタッフ全員に声を掛けていた。(取材/岸田智)
テレビドラマ「アルジャーノンに花束を」はTBS系にて金曜夜10時に放送中