AIは人間の新たな進化?『第9地区』監督が語る新作SF特別映像
映画『第9地区』のニール・ブロムカンプ監督が、AIを搭載したロボットを主人公に据えた新作SF『チャッピー』の特別映像が公開された。
『第9地区』ではエビ型エイリアン、続く『エリジウム』では主演のマット・デイモンに強化外骨格を着用させるなど、独自の観点からユニークな容姿と強烈なインパクトを持った主人公を生み出してきたブロムカンプ監督。本作では、人類史上初めてAIを搭載した一体の警察ロボット「チャッピー」の成長と、人間との交流によって生まれた彼の葛藤が描かれる。
公開された映像でブロムカンプ監督は、「僕は進化の過程に興味がある。人間は進化の過程であり、我々は自ら次の形態を選ぶのかも知れない」と証言。AIが、人間の進化の先にある姿と考えていることをにおわせる。
「人工知能ロボットは自分で判断をしますが、その基準が正しいとは限りません。人間が守っているモラルや規範を持っていないかもしれません」と指摘するのは、アリゾナ大でロボットを研究するアンソニー・ロドリゲス氏。本作でチャッピーの存在を危険視するロボット開発者にふんしたヒュー・ジャックマンも、「確かに人工知能は便利だが、誰が作って操作するのか」によって、善にも悪にもなり得ると語る。
実際チャッピーは劇中、AIプログラムを開発したディオン(デーヴ・パテル)によって生み出されるが、育てるのはストリートギャングのニンジャとヨーランディだ。AIを正しく育てようとするディオンと、絆を育みながらも犯罪に加担させようとするギャングとの間で、チャッピーは複雑な成長を遂げていくことになる。
ロドリゲス氏は、ロボットが意識を持つ可能性について「我々人間が、意識がどこから生じるのかを理解していない」と疑問視する。しかしブロムカンプ監督は、「高い知能レベルのロボットが、自分の生みの親である人間に共感できないなんて、僕は想像できない」「チャッピーを生んだのは人間の優しさだ」と主張。本作が、アクションだけではない深淵なテーマを扱った一本であることを期待させる。(編集部・入倉功一)
映画『チャッピー』は5月23日より全国公開