唐沢寿明、海外での差別経験を明かす
第2次世界大戦時、リトアニア領事代理としてユダヤ難民にビザを発給し続け、6,000人の命を救ったといわれる杉原千畝の壮絶な生涯を追った映画『杉原千畝 スギハラチウネ』の製作報告会見が19日、都内で行われ、主演の唐沢寿明と女優の小雪が登壇した。唐沢はかつてヨーロッパを訪れたときに、ある国で「差別的な扱いを受けたことがある」と明かすと、「差別されると、人ってこういう気持ちになるんだなっていうのがよくわかりました」と語った。
「そのときは、日本ではなく別の国の人に間違われたようなんですが、いずれにしろ、差別や戦争が良くないという根底は同じ」と述べる唐沢。撮影を振り返り、「ユダヤの方たちもすごい差別を受けたわけで、千畝さんがあの時代に、政府に逆らってまで行動した誠実さに恥じないように、自分でも珍しく、現場でふざけないでシリアスにやりました」とコメントした。ポーランドで行われた撮影はすでに無事終了しており、現在はポストプロダクション中とのこと。
千畝の妻・幸子を演じる小雪は、現在第3子を妊娠中で、7月に出産予定。「幸子さんも、大変な時代に3人のお子さんを育てていらっしゃる。演じる自分も子供を持つ女優として、女性として、強くならざるを得ないです。親になることで、しっかりした人間にならせてもらっている気がします」と力強くコメントしていた。
この日は、共演陣として、ポーランドから俳優ボリス・スジックと『ワレサ 連帯の男』などに出演の女優アグニェシュカ・グロホウスカ、『太平洋の奇跡-フォックスと呼ばれた男-』で知られるアメリカ人監督のチェリン・グラックが来日。グラック監督は流ちょうな日本語で「国籍はアメリカですが、生まれは日本で、父からユダヤ人の血を、母からは日本人の血を引いています。母はアメリカの収容所暮らしも経験したことがあって『日本のシンドラー』と呼ばれた千畝さんの話はとても身近に感じます」と話していた。(取材/岸田智)
映画『杉原千畝 スギハラチウネ』は12月5日より全国東宝系にて公開