本木雅弘、昭和天皇役に樹木希林の後押し
俳優の本木雅弘が20日、都内で行われた映画『日本のいちばん長い日』完成報告会見に、役所広司、松坂桃李、堤真一、原田眞人監督と共に出席した。昭和天皇を演じた本木は、「この役はもともとわたしではなかったが、その方のスケジュールが合わず、急きょわたしに矢が向いた」と裏話を披露。義母で女優の樹木希林の後押しがあったことも明かし、「アクシデントを受け入れて得をしたと思っています」と満足げにほほ笑んだ。
昭和史研究の第一人者・半藤一利の傑作ノンフィクションを映画化した本作は、日本が破滅へと向かう太平洋戦争末期、祖国の未来を信じ、今日の平和の礎を築くため身をていして闘った男たちの壮絶なドラマ。
昭和天皇という大役に「受けるかどうか躊躇(ちゅうちょ)した」という本木だが、「樹木さんから、『あなたにこの役が来た意味がわかる気がする。昭和天皇を演じる機会はなかなかないと思うから受けるべきなんじゃないかしら』と、背中を押していただいた」と述懐。それでも、「恐れ多さと未熟な自分がこれを背負えるのかという思いが消えないまま撮影が終わった」そうで、「昭和天皇に強い印象を持っている方がたくさんいらっしゃると思います。そんな方々から『本木のあそこは違う』とお叱りをいただくのではないかと思うと唇が震えてしまいます」と素直な思いを打ち明けた。
自嘲気味な本木に対し、原田監督は最初から本木をキャスティングしたかったが、「スケジュールが合わないと聞いたので他の人にオファーした」と弁明。さらに監督は、戦争映画初参加で畑中健二少佐を演じた松坂については「丸刈りにできるかどうかがポイント」だったと明かし、堤に至っては「丸刈りにしそうもなかったので一般人(迫水久常書記官役)にした」とぶっちゃけ、笑いを誘った。
主演の役所は、名優・三船敏郎さんも演じた阿南惟幾陸軍大臣役にプレッシャーを感じたそう。だが、「戦争についての映画は役者として作り続けなければいけない」と気概も見せると、「いつか、松坂君が阿南大臣をやる時代が来るかも。そのとき、僕は(山崎努演じる)鈴木貫太郎役で」とアピールし、会場を沸かせた。
この日は、戸田恵梨香と松山ケンイチが特別出演していることも報じられた。長年温めていたものが戦後70年の節目の年に、豪華キャストを迎え現実のものとなり、原田監督は「一つの記念碑的作品になりました」と喜びをかみしめた。(取材・文:鶴見菜美子)
映画『日本のいちばん長い日』は8月8日より全国公開