「アナ雪」旋風を巻き起こした名訳詞家が手がける ミュージカル「アラジン」の魅力
劇団四季のディズニー提携第5弾作品となるミュージカル「アラジン」が、24日に初日を迎え、東京・電通四季劇場[海]で、日本語訳詞を担当した高橋知伽江さんが合同取材会に応じた。社会現象ともなった『アナと雪の女王』の主題歌「レット・イット・ゴー~ありのままで~」の訳詞者として知られる高橋さんは、本作の魅力や製作の苦労、日本語訳に込めた思いなどを語った。
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これまで『魔法にかけられて』『プリンセスと魔法のキス』『塔の上のラプンツェル』『メリダとおそろしの森』『アナと雪の女王』と、多くのディズニー映像作品を手がけた高橋さんだが、「他と違う本作の魅力は?」という記者の質問に「徹底したエンターテインメント精神」と即答。「お客さんを楽しませることについて、一切妥協がない。これはディズニーの精神であり、劇団四季の精神でもあるのでは」と話す。
そのために、日本語訳では「耳で聞いて絶対に誤解のない、わかりやすい言葉を使います。日本語は同音異義語が多いので『今の言葉は、どういう意味?』とお客さんが思ったら、ドラマから心が離れてしまうことになりますから。でもメロディーがあると、英語のアクセントやイントネーションで出来上がった歌に日本語を乗せるので、この言葉を入れたいと思ってもなかなか入りませんね」と苦労を話す高橋さん。アニメ版でアカデミー賞主題歌賞に輝いた「ホール・ニュー・ワールド」を例に「この綺麗なメロディーを生かそうとすると、音符は4つで日本語も4音。『何もかも新しい世界』という訳でなく、ダイレクトに『自由よ』と訳しました。歌っているジャスミンの心の喜びをそのまま言葉にしたんです」と、観客に届く名訳の秘密を明かした。
『アナと雪の女王』の大人気曲「レット・イット・ゴー~ありのままで~」についても「ヒロインのエルサの歌ですが、観たり聴いたりする現代の人が『これは自分のことだ、自分のために歌ってくれているんだ』と感じる訳にしてほしいと、ディズニーからも言われました」と語った高橋さん。「『アラジン』にもドラマの流れ、登場人物の心の流れを、観客がそのまま追っていける現代性があるし、自由を追い求め、相手の自由も尊重する自由讃歌である点が、何より美しいですね」と魅力を語っていた。
ディズニーの劇場版アニメ『アラジン』を基にした本作は、砂漠の王国アグラバーに住む青年・アラジンと、王国の姫・ジャスミンの恋愛模様を軸に、ランプの精・ジーニーや邪悪な大臣・ジャファーなどのエピソードを交えて描くミュージカル。2014年3月に始まったブロードウェイ公演はメガヒットを記録しており、米国以外での上演は、今回の日本が初となる。(取材/岸田智)
ミュージカル「アラジン」は東京・電通四季劇場[海]にて上演中