「20世紀最大の巨匠」ベルイマンの異色3作が初ブルーレイ化
「20世紀最大の巨匠」とうたわれるスウェーデン人監督イングマール・ベルイマンの『魔術師』(1958)、『仮面/ペルソナ』(1966)、『叫びとささやき』(1972)の3作品が初ブルーレイ化される。
【写真】ベルイマン『魔術師』『仮面/ペルソナ』『叫びとささやき』フォトギャラリー
ベルイマンは、独特の映像感覚や緻密なリハーサルに基づく演技の即興性を追求し、ウディ・アレン、スティーヴン・スピルバーグ、スタンリー・キューブリックやフランソワ・トリュフォー、ジャン=リュック・ゴダールら多くの監督たちに影響を与えたことでも知られる巨匠。
『第七の封印』(1956)、『野いちご』(1957)、『処女の泉』(1960)などの代表作において、カンヌ、ベネチア、ベルリンのヨーロッパ三大映画祭では輝かしい受賞歴を誇る一方で、アカデミー賞では映画業界に貢献したプロデューサーや監督に贈られるアーヴィング・タールバーグ記念賞や外国語映画賞を受賞しているが監督賞を3度、脚本賞を5度逃している。
今回ブルーレイ化された『魔術師』は、イギリスのミステリー作家G・K・チェスタトンの小説をベースに、旅回りの魔術師とその一座が、科学主義者たちの屋敷に宿泊する一夜を描いたファンタジックな物語。交霊術、超能力、幽霊といったオカルト的要素の強い異色作だ。『仮面/ペルソナ』のテーマはドッペルゲンガー(分身)。舞台上で言語障害を起こした女優と彼女を看護する女性のただならぬ関係のてん末を追う。本作を機に、ベルイマンと女優のリヴ・ウルマンは公私にわたるパートナーとなり、破局したのちも長らく関係を結んでいくことになる。
『叫びとささやき』は、日本で初めて公開されたベルイマンのカラー作品。19世紀末のスウェーデンで、豪邸に住む上流階級の4人の女性たちの「生と性」を見つめた本作は、第46回アカデミー賞作品賞、監督賞、脚本賞、衣装デザイン賞など5部門にノミネート。同賞で撮影賞を受賞した、名カメラマンのスヴェン・ニクヴィストの映像美が圧巻だ。音楽にはショパンの「マズルカ・イ短調/作品17-4」とバッハの「組曲第五番ハ短調よりサラバンド」が用いられている。(編集部・石井百合子)
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