高良健吾、ハグされた瞬間、ヨシッ!と力が入る
『そこのみにて光輝く』で数々の映画賞を受賞した呉美保監督の最新作『きみはいい子』で主演した高良健吾と、ヒロインを演じた尾野真千子が撮影秘話と作品への思いを語った。
「人が人を愛すること」を描いた『きみはいい子』写真ギャラリー
2013年の本屋大賞第4位を獲得した、中脇初枝の人気小説を基にした本作。学級崩壊や児童虐待、独居老人など現代の日本社会を取り巻く問題を盛り込んだセンシティブな内容を描く群像劇で、小学校の新米教師・岡野を演じた高良は「子供たちと向き合って演じることはできるんだろうかと不安に感じた」という。だが、「子供よりベテランの俳優さんばかりに囲まれて芝居するほうがもっと大変だな、子供たちから質問攻めに遭うことも楽しめた」と振り返る。
一方、幼い娘に手を上げてしまう母親を演じた尾野。NHK連続テレビ小説「カーネーション」や、映画『そして父になる』など、母親役も板についているとはいえ、この役はすんなり引き受けたわけではなかった。「あ、虐待か……って嫌な気がしました。だけど、台本を読み進めると、希望のある結末になっていて救われる。そんな終わり方だから、これは、絶対に意味のある作品になると思ったんです」と明かす。
傷つき傷つけられても、人間は人と人のつながりによって癒やされ、幸せも得られる。そう描く本作では、抱き締めることの大切さを伝えているが、「わたしも親から抱き締められることでうれしくなる」と尾野。「田舎に戻って、東京に帰る間際、ハグしながら『体に気を付けるんやで』とか何でもない言葉を掛けられると、肌が触れ合ってる分、骨身に染みてきて、泣いてしまう」という。高良は「両親とはないですが、男友達とはしょっちゅうハグします。『久しぶり』と言いながらだったり、『じゃあね』だったり。ギュッとハグされると、瞬間、体にヨシッ! とパワーが入る気がします。悔いなし! って感じ。ハグはいいものですよ」と笑ってみせた。(取材・文:前田かおり)
映画『きみはいい子』は6月27日より全国公開