ミュージカル、コメディー、ホラーを含めたカルト要素満載の映画『パッチ・タウン』とは?
ミュージカル、コメディー、ホラーなどの要素を織り交ぜた話題作『パッチ・タウン(原題) / Patch Town』について、クレイグ・グッドウィル監督が語った。
本作の舞台は、近未来のディストピアの世界。キャベツから生まれた子供は、まるで人形のように売られ、奴隷のように育てられ、さらに工場の流れ作業をさせられていた。そんな工場で働くジョン(ロブ・ラムゼイ)は、この世界を支配するチャイルドキャッチャーといつしか対立していくというストーリー。今作は、クレイグ・グッドウィル監督の長編デビュー作だ。
短編から今作を製作したことについて「近年、独立映画で資金を集めて製作するのが大変困難になった。僕が手掛けた28分間の短編は苦労して撮影し、運良くカナダの監督組合賞を受賞した。もちろん、その後この短編とは全く違う映画の製作もできた。だが、せっかくすでに撮影したのだから、28分間のうち22分間をそのまま長編に使用して、短編から3年後に長編を撮影した。実際にはこの短編がなければ、長編の製作資金は集められなかった」と振り返った。
ジョン・キャンディをほうふつさせる若手俳優ロブ・ラムゼイのキャスティングについて「今日の娯楽業界はスリムできれいな人ばかりな気がする。彼が今作のオーディションに来たときは、彼はすでにカナダのテレビシリーズ『ブルー・マウンテン・ステイト(原題) / Blue Mountain State』のスターだったが、特徴あるアフロヘアの姿で歌声も披露し、僕らを驚かせた。その上彼は、この業界ではあり得ないほど誠実な人物だった」と語る通り、ハリウッドの典型的なスターとは違うロブの存在感も今作の魅力だ。
今作にミュージカルシーンを含めたのは「短編を長編化する上で、この世界観や(キャラクターの)感情をわかりやすく観客に伝えるための参考資料がなかった。そのため、映画内で、ナレーションで世界観を説明したり、キャラクター同士に会話をさせながら世界観を伝えようかと考えたが、最終的にはキャラクターが心に秘めている感情をミュージカルを通して伝えながら、世界観も表現していくことに決めた」と答えた。自然にミュージカルシーンを挿入させたことで、特別な映画になった。
映画は、これまでにない独自の世界観とカルト要素が多く含まれた興味深い作品。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)