高良健吾、やさしい抱擁で監督に感謝!
映画『きみはいい子』の初日舞台あいさつが27日、都内・テアトル新宿で行われ、高良健吾、尾野真千子、呉美保監督らが出席した。本作は先日、第37回モスクワ国際映画祭・NETPAC賞(最優秀アジア映画賞)を受賞。“抱擁”が作品の大切な要素であることから、MCに「今、誰を抱きしめたいか」と問い掛けられた高良は、「受賞もしたし、お子さんも生まれたし、今日は初日だし……呉監督で」とはにかみながらリクエスト。照れつつもやさしいハグで監督に感謝を示すと、会場から「おおー!」と歓声が上がった。
本作は、『そこのみにて光輝く』で数々の映画賞を受賞した呉監督が、中脇初枝の同名小説を映画化した人間ドラマ。学級崩壊をさせてしまう新米教師(高良)や、親から虐待を受け自身も子供を虐待する母親(尾野)らが、厳しい現実と葛藤しながらも生きていく姿を描く。この日は共演の高橋和也、喜多道枝、加部亜門、三宅希空も登壇した。
お祝いムードに包まれる中、公開初日を迎えた高良は、「言葉も育った環境も違う場所で僕らが撮った映画が評価され、そして観ていただいた方の心に響いたことがとてもうれしいです。目に映らないものでも、心を通わせれば伝わると信じていたので、それが個人の賞ではなくて、映画の賞だったということが本当に良かった」としみじみ。一方の尾野は対照的に、「受賞の知らせを聞いたとき、美容室に居たんですが、思わずガッツポーズをしてしまい、ほかのお客さんに迷惑をかけてしまいました」と冗談まじりに喜びを伝え、会場の笑いを誘った。
また、カンヌ、ベネチア、ベルリンと並び世界四大映画祭と称されるモスクワ国際映画祭で高い評価を得たことについて呉監督は、「ロシアはシャイな方が多いとお見受けしていたんですが、上映後、皆さんがすごく興奮して駆け寄って来て、感想を言ってくださった。『(学級崩壊や虐待を)日本の社会問題として取り上げているが、どこの国でも起こっていること。だからこの映画を世界のいろんな人々に観てほしい』という言葉を聞いたときは、わたしの思いが伝わったことを実感した」と目を潤ませながら述懐していた。(取材:坂田正樹)
映画『きみはいい子』はテアトル新宿ほか全国公開中